2023 Fiscal Year Research-status Report
教員が子どもの不登校のサインに適切に気づく力を獲得するためのプログラム開発
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20K03367
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
五十嵐 哲也 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90458141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 理恵 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60754356)
藤川 大祐 千葉大学, 教育学部, 教授 (50288429)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不登校 / 前兆 / 教員養成 / 予防的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度までに作成された授業プログラムを実際に実施し,その効果検証を行うこととした。 対象は,教員養成大学・学部に通う1~4年生233名(男性68名,女性53名,無回答など112名)とした。そのうち,全ての調査および授業に記入漏れなどがなく参加した89名(男性51名,女性37名,無回答1名)を分析の対象とした。事前調査については,授業実施前の2023年6月中旬~7月初旬および12月初旬に,オンラインもしくは授業内で一斉に実施した。事後調査については,授業実施後の2023年7月中旬~下旬および12月下旬に,オンラインもしくは授業内で一斉に実施した。調査内容としては,授業の効果検証の指標として,不登校対応自己効力感(岩永・吉川,2000)を用いた。「支持的受けとめ」「再登校の支援」「協力」の計25項目から成る。11件法。 授業前後において「不登校対応自己効力感」に差があるかを検討するために,対応のあるt検定を行った。その結果,「支持的受けとめ」と「協力」においても,授業後の得点が有意に上昇していた。「支持的受けとめ」は,不登校の原因探しや責任者探しをしたり,怠けや甘えだと決めつけたりせず,今後の方針を保護者と一緒に考え,学校復帰を焦らずに待とうという姿勢を表すものである。授業によって,同じ子どもを見ても多様な考え方があり,一つの視点から見て決めつけることには問題があることを学んだ結果,これらの態度が形成されやすくなったのだと考えられる。また,「協力」は,一人で抱え込まず,教職員で連携して共通理解を図っていくことの大切さを示すものである。授業によって,他者の視点を学ぶ大切さを実感したため,「協力」が強く意識されたのであろう。一方,「再登校への支援」には復帰しやすい学級づくりなどが含まれており,本授業では取り組んでいなかったために変化が認められなかったものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した計画通り,研究は進展している。しかしながら,調査への回答に欠損値がなく分析対象となった者の人数が少なく,追加調査が必要となっている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も追加での授業実践,ならびに調査を行い,調査結果をより適切なものへと高めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由としては,学会の対面開催が見送られるなどして,旅費が不要になった点が挙げられる。今年度は,成果発表のための学会参加旅費等に使用するほか,追加の授業実践および調査の実施ならびにその分析等に必要となる入力作業などに使用する予定である。
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