2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の精神分析史の構築ー古澤平作の遺品調査を通してー
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20K03389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 見奈子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10435365)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神分析 / 精神分析史 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古澤平作の遺品調査を通して、日本の精神分析史の構築を目指すものであったが、新型コロナウイルス拡大により遺品調査は困難となったため、草創期の日本の精神分析家の文献調査を通して日本の独自性を掘り起こすこと、さらに日本において「精神分析史」という研究分野を定着させることを通して、日本の精神分析史の構築を目指した。 2020年におこなった発表は、教育哲学研究(123号, pp. 13-22)とE-Journal of Philosophy of Education: International Yearbook of the Philosophy of Education Society of Japan(Vol. 6, pp. 44-54)に掲載された。 日本の精神分析の特徴を探索的に検討することを目的に、精神分析家の松木邦裕と哲学者の西平直の対談を企画し、2021年8月21日に実施した。 さらに京都大学の松本卓也准教授とともに「精神分析史と人文科学」シンポジウムを企画し、2021年9月7日に開催した。シンポジストには西見奈子、松本卓也准教授に加え、成蹊大学の遠藤不比人教授、中央大学の下司晶教授が招待された。さらに静岡文化芸術大学の中田健太郎講師と同志社大学の藤井あゆみ講師が指定討論をおこなった。その際、ウェブサイト(https://hp.educ.kyoto-u.ac.jp/)を作成し、対談等のコンテンツとともにシンポジウムの様子を後日動画配信した。参加者は214名となり、盛況となった。 また、第67回日本精神分析学会大会(2021年11月7日)のシンポジウム「『日本的』とは何か-精神分析概念の創造-」において指定討論を務め、古澤平作、土居健郎、北山修の日本の精神分析の概念についての発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度の予定としては、東京で管理されている遺品調査を行う予定であった。しかし周知の通り、新型コロナウイルスの感染拡大により、管理している機関と日程調整を行い、計画を立てても、緊急事態宣言等によって遂行できないということが繰り返された。そのため、上述したように研究方法を修正し、目的である日本の精神分析史の構築を達成できるよう可能な限り努力をした。また、予定していた学会やシンポジウム等の発表の場も中止になったが、自らシンポジウムや対談の場を企画し、研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度も東京で管理されている遺品調査を行う予定であるが、新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては、また見直す必要もあるかもしれない。その場合には令和3年度同様、日本の精神分析史の構築という目的を達成できるよう、草創期の日本の精神分析家の文献調査を通して日本の独自性を掘り起こすことや日本において「精神分析史」という研究分野を定着させることを重視して取り組みたい。具体的には、精神分析家と哲学者の対談や講演会、「精神分析史と人文科学」シンポジウムを昨年に引き続き、企画したいと考えている。
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Causes of Carryover |
調査旅費、また国際学会や国内学会に参加する費用を計上していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、調査は中止となり、学会はオンラインに変更となったため、旅費を使用できなかった。それらの費用については、もし次年度以降、調査再開や対面での学会参加が可能となった場合には使用する予定である。さらに余剰分については、シンポジウムのオンライン配信やホームページ更新費用に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)