2020 Fiscal Year Research-status Report
Clinical psychological intervention in the preliminary stage of Lifestyle-related Diseases contributes to the reduction of psychobiological stress response.
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20K03430
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
矢島 潤平 別府大学, 文学部, 教授 (30342421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活習慣病予備軍 / 介入実践研究 / メンタルヘルス / 心理生物学的ストレス反応 / ストレスマネジメント / セルフモニタリング学習 / 怒りのコントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生活習慣病予備軍(不適切な生活習慣を送っている個人)を対象に臨床心理学的介入による生活習慣の改善と心理生物学的ストレス反応の軽減との関連性を,フィールド調査,実験室実験及び介入実践研究にて検証することを目的としている。本年度は,集団介入実践研究を実施した。 (研究目的)ストレスや怒りなどの心理的要因と攻撃性の関連に着目し,認知や怒りに焦点を当てたアンガーマネジメント介入プログラム実施によるメンタルヘルスの変化を検証した。 (研究方法)対象者:大学生41名(男15名,女26名)を対象に1ヶ月間の介入期間を設定した。手続き:対象者は,4回のアンガーマネジメント介入プログラムに参加してもらい,介入期間中,毎日スマートフォンによるホームワーク(5-10分程度)を行ってもらった。介入前後で,PANAS,WELEIS,BSCP及びシャイネス尺度に回答してもらった。介入プログラム:新型コロナウイルスの感染予防等の影響によって,オンラインも交えて実施した。第1セッションは,怒りのメカニズムなどを中心とした心理教育,第2セッションは,感情及び認知の整理方法,第3セッションは,適切な怒りの表出方法,第4セッションは,日常生活場面での怒りの対処法を学んでもらい,いずれもワークシートを用いながら対象者が能動的に参加できるように工夫した。ホームワークは,怒りを感じた日時・時間,出来事を就寝前に記載しメールにて提出してもらった。 (結果と考察)女性において,PANASのポジティブ感情とネガティブ感情,BSCPの問題解決のための相談と積極的問題解決及びWELEISの他者の情動評価で介入後に有意に上昇した。以上の結果は,対象者自身の洞察が高まったことによって,どのようなコア・ビリーフが自身に怒りをもたらすのか等について詳細に把握できるとともに,怒りに対する向き合い方や対処方法の変化を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に従って,質問紙による調査研究は実施できたものの,covid-19の影響で対面によるバイオマーカーの採取及び測定が限定されてしまった。そのため,バイオマーカーと質問紙との関連性に関する検証が完了していない。次年度もcovid-19の懸念が考えるため,研究プランを練り直して,調査研究とフィールド-実験統合研究を先延ばしにして,実践介入研究の予備研究を行うこととした。以上のことから,生活習慣病予備軍の生活状況やバイオマーカーに関する知見の集約が遅れている。しかしながら,次年度に再度研究協力者にバイオマーカーの採取を依頼するなどの対応等をとっており,遅れは充分取り戻すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って,研究を進めるが,covid-19の影響も考慮して,研究方法等を順次見直しながら実施する。特に令和3年度は,令和2年度で終了させる予定であった(研究1)生活習慣病予備軍の心理生理学的要因の検証(フィールド調査研究)を完了させる。加えて,(研究2)生活習慣病予備軍の心理生物学的ストレス反応の検証(フィールド-実験統合研究)にも取りかかる。詳細は以下の通りである。 目的:フィールド調査にて,生活習慣病予備軍と適切な生活習慣を送っている個人を抽出し,実験室でのストレス課題による心理生物学的ストレス反応を比較検証する。研究参加者:大学生を対象に研究1の基準に基づいて,生活習慣病予備軍と適切な生活習慣を送っている個人(対照群)を20名ずつ選抜する。実験手続き:実験室に入室後10分間の順応期,ストレス課題(スピーチ課題と暗算課題10分)を試行し,30分間の回復期にて実験を終了する。課題前後と回復期(15分及び30分経過時)に唾液採取とストレス状態質問紙を行う。実験中,心拍,HF成分及びLF/HFを連続測定する。ストレス条件と統制条件をカウンターバランス設定にて同一対象者に2回行う。 心理生物学的ストレス反応として,唾液free-MHPG,唾液コルチゾール,心拍・血圧(イヤーカフ型ウェアラブル端末),HF成分,LF/HF(心拍ゆらぎシステム)及びストレス状態質問紙による主観的評価(エネルギー覚醒,緊張覚醒,気がかりなど)を測定する。
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Causes of Carryover |
covid-19の感染防止等の影響によって,対象者と対面での接触が制限され,バイオマーカーの採取と測定が限定的になった。加えて,当初参加予定であった国内外で開催された学会が緊急事態宣言等により延期,中止,web開催への変更等になったこと,県外への移動が制限されたことなどにより本来使用する予定であった旅費消化ができなかったため。 次年度は研究推進方策に従って,本年度終了予定であったバイオマーカーの測定のためのキットの購入費用,成果発表の旅費交通費に充当させる。
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[Book] ストレスケアの実際2021
Author(s)
津田彰・本田泰弘(編者),矢島潤平(分担執筆)
Total Pages
186
Publisher
錦房
ISBN
978-4-9911717-0-3
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