2021 Fiscal Year Research-status Report
Clinical psychological intervention in the preliminary stage of Lifestyle-related Diseases contributes to the reduction of psychobiological stress response.
Project/Area Number |
20K03430
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
矢島 潤平 別府大学, 文学部, 教授 (30342421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活習慣病予備軍 / 実験室実験 / 介入実践研究 / リラクゼーション効果 / 心理生物学的ストレス反応 / ロールプレイ / グループワーク / FA瞑想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生活習慣病予備軍を対象に臨床心理学的介入による生活習慣の改善と心理生物学的ストレス反応の軽減との関連性を,フィールド調査,実験室実験及び介入実践研究の実施を目的としている。本年度は,実験室実験と集団介入実践研究を実施した。本研究実施にあたって,別府大学倫理委員会の承認を得た。 (実験室研究)リラクゼーション実践の一つであるマインドフルネス瞑想(FA瞑想)実施による変化を検証した。方法:男子大学生12名に,はじめにFA瞑想の効果と実践方法に関する心理教育を行った後,呼吸を用いた短期的FA瞑想を15分間実施した。実験中,HF成分とLF/HFを連続測定し, POMS2によって瞑想前後の変化を捉えた。結果と考察: FA瞑想の実践前後でHF成分の上昇とPOMS2の不安緊張の低下が認められことから,リラクゼーション効果が示唆された。 (集団介入実践研究)大学生を対象に,日常場面で起こりそうな援助要請を必要とするロールプレイを体験することによる援助要請スキルの変化の検証を目的とした。方法:大学生27名(男性13名,女性14名)を対象とした。はじめに,対象者を4-5人のグループに分け,グループごとにロールプレイとフィードバックを2回実施した(介入1)。その後,別のロールプレイとフィードバックを2回繰り返して実施した(介入2)。介入実施前,介入1及び介入2の終了後に援助要請スキル尺度を測定し変化を検証した。結果と考察:介入後に援助要請スキル得点が有意に上昇した。また,ロールプレイの役割の違いによる影響は認められなかった。以上の結果から,ロールプレイに参加するのみで,援助要請スキルが向上する可能性が考えられる。 (まとめ)以上の二つの研究から,生活習慣病予備軍に対して改善プログラムを作成するにあたって,リラクゼーション効果及びロールプレイを用いたグループワーク導入の有用性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,当初の計画からcovid-19の影響を考慮して,研究計画を変更して,実践介入研究の予備研究を行うこととした。研究実績の概要で報告したとおり,本年度は複数の介入実践研究及び実験室研究を行い,次年度以降の介入実践研究の方向性を確認することができたとともに,成果の一部については,国内学会にて発表を行った。 しかしながら,昨年度からの懸案事項であるフィールド調査研究でのバイオマーカーの採取及び分析及び実験室でのストレス負荷課題による実施が遅れている。そのため,次年度で実験室研究が行えるようにcovid-19に対応した実験プロトコールに変更(研究計画に変更は生じない程度に一部の指標を削除する,実験者と対象者との接触機会を減らすなど)した。次年度に実施可能なように実験リハーサルを行うこともでき,研究の遅れは取り戻せると考えている。フィールド調査におけるバイオマーカーの採取についても引き続き次年度に採取することで,ある程度の方向性を示せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究スケジュールに従って,実施するが,covid-19による影響を考慮して,実験室研究のプロトコールの見直し,介入実践研究での介入方法の工夫を行いながら進めていく。特に令和4年度は,フィールド-実験統合研究に重点をおいて取り組むこととする。対象者については,令和2年度及び令和3年度に実施したフィールド調査(質問紙のみ)にて生活習慣病予備軍と健康な生活を行っている群(対照群)の抽出はすでに終わっており,実験参加の内諾も終わっている。進捗状況の項で示したとおり,実験室研究のプロトコールは完成しているために,covid-19の感染状況を鑑みながら随時実施することとする。実験手続きとしては,対象者に実験室に入室後10分間の順応期,ストレス課題10分(スピーチ課題と暗算課題),回復期30分にて行う。ストレス課題前後と回復期後に唾液採取と気分に関する質問紙を実施するとともに,実験中,心拍,HF成分及びLF/HFを連続測定しその変化を捉える。 加えて,介入実践研究については,対象者に,生活習慣病改善のための心理教育,2週間のセルフモニタリングを含めたホームワークの実施,フィールドバック面接を行う。介入前後で生活習慣,ストレスに関する質問紙調査を実施しその変化を捉える。 研究成果については,国内の学会にて適宜報告をおこなう。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた最大の理由は,covid-19の影響により国際学会に参加することができなくなったこと,国内の学会も全てオンラインに切り替わったこと等により旅費消化が行えなかった。加えて,同様の理由にて実験研究が制限されたために,人件費・謝金も介入研究のみに充当したため,当初予定より大幅な消化ができなかったことがあげられる。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については,本年度,covid-19に対応した実験セッションのプロトコルを作成したので,それを基に実験研究を実施することにしているため,人件費・謝金及び物品費の消化が見込まれる。さらに,国内学会も一部対面形式の開催が予定されており,秋季以降の国際学会の参加もみこんでおり,旅費に充当する予定にしている。
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