2020 Fiscal Year Research-status Report
がんゲノム医療と遺伝性腫瘍に対する患者・医療者の心理的ストレスに関する研究
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20K03431
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
田辺 記子 (安藤記子) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 遺伝カウンセラー (30586376)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 遺伝性腫瘍 / がんゲノムプロファイリング検査 / 二次的所見 / 心理的ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における課題1)~3)に対して、本年度は下記の通りに研究成果を得た。 【課題1)がんゲノムプロファイリング検査(CGP)の二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の臨床的背景および遺伝性腫瘍診療の受診動機・受診障壁の要因に関する検討】2019年6月以降に保険診療として実施されたCGP(OncoGuide NCCオンコパネル、FoundationOne CDx)の結果から、遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者を抽出し、その臨床情報(年齢、性別、がんの種類、治療経過、CGPの結果、がん家族歴など)や診療経過等について、診療録より後ろ向きに情報集積を開始している。現時点で、36症例が対象となっており、中間解析では、約4割が遺伝性腫瘍診療を受診していないこと、受診しない理由として遺伝性疾患に関する事項よりも治療を優先したい気持ちが予測されること、が示唆された。
【課題2)CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の主治医が、患者に遺伝性腫瘍の診断/疑いを告知する際の心理的ストレスの有無、またその要因に関する研究】CGPに深く関わる診療科医師らと、研究計画立案について検討を開始している。
【課題3)CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者が抱く心理的特徴】課題1)と同様に診療録の後ろ向き調査を行った。CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われる結果を受け取った患者のうち、遺伝カウンセリング未受診患者の中間解析の結果からは、患者は「遺伝性腫瘍に係る相談よりも、現在の治療を優先したい」という思いがあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題1)の進捗状況】順調に進展している。引き続き、症例集積および診療録調査を行っていく。 【課題2)の進捗状況】CGPに関わる医師との調査研究に係る相談を開始したところである。当初は紙媒体での調査を想定していたが、匿名性を担保したWeb調査システムについても検討している。 【課題3)の進捗状況】課題1)の主結果を待つ状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
【課題1)がんゲノムプロファイリング検査(CGP)の二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の臨床的背景および遺伝性腫瘍診療の受診動機・受診障壁の要因に関する検討】2021年度末の段階で症例集積を一旦完了し、臨床情報収集、診療録情報調査を行い、データ解析を行う。2022年度には論文化を目指す。
【課題2)CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の主治医が、患者に遺伝性腫瘍の診断/疑いを告知する際の心理的ストレスの有無、またその要因に関する研究】2021年度には、研究計画立案し、調査実施を行う。データ解析も進める。
【課題3)CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者が抱く心理的特徴】課題1)の結果を受けて、質問項目の策定、プロトコールの立案に着手したい。
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Causes of Carryover |
2020年度は、主に研究計画立案と各種学術的情報収集(学術集会等の参加)を予定していたが、2020年冬期からののコロナ禍により、各種学術集会がすべてオンライン開催となり、旅費使用が皆無とあった。重ねて、遺伝専門家への直接面会による情報収集も皆無となった。以上より、旅費については出費がゼロであった。
人件費に関しても、直接雇用は難しい状況であった。今後は外部委託などの方法についても検討したい。
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