2021 Fiscal Year Research-status Report
がんゲノム医療と遺伝性腫瘍に対する患者・医療者の心理的ストレスに関する研究
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20K03431
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
田辺 記子 (安藤記子) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 遺伝カウンセラー (30586376)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 遺伝性腫瘍 / がんゲノムプロファイリング検査 / 二次的所見 / 心理的ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
【課題1:がんゲノムプロファイリング検査(CGP)の二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の臨床的背景および遺伝診療の受診動機・受診障壁の要因に関する検討】2019年6月~2022年3月末までに保険診療として実施され、エキスパートパネルで検討されたCGP検査(①OncoGuide NCCオンコパネル:574症例、②FoundationOne CDx:495症例、③FoundationOne Liquid CDx:75症例)結果から、がん易罹患性症候群が確定した/疑われた症例は、①21症例(3.7%)、②37症例(7.8%)、③2症例(2.7%)であった。そのうち、2022年5月時点の遺伝医療部門受診割合は、①14症例(受診率67%)、②16症例(43%)、③2症例(100%)であった。遺伝医療受診障壁としては、「遺伝のことよりも治療を優先したいという思い」「血縁者がすでにがん易罹患性症候群が診断されているという事実」などが抽出された。 【課題2:CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者の主治医が、患者に検査結果を告知する際の心理的ストレスとその要因に関する研究】CGPに関わる診療科医師らと、研究計画立案について継続的審議中であり、昨年度より大きな進捗はない。 【課題3:CGPの二次的所見として遺伝性腫瘍が確定した/疑われた患者が抱く心理的特徴】患者の心理的特徴を調査するための質問紙として、Lermanらによって開発されたThe Multidimentsional Impact of Cancer Risk Assessment (MICRA)(2002)の日本語版策定を行った。責任著者に許諾を得た後、著作権に関する手続きを終え、基準に則り日本語翻訳・英語逆翻訳を行った。日本語版に関して、遺伝学的検査実施した5名の協力者の意見を基に最終版を策定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題1の進捗状況】順調に進展している。引き続き、症例集積および診療録調査を行い、本年度には学術集会報告、論文作成に着手の予定である。 【課題2の進捗状況】Webシステムを用いた調査について検討中である。 【課題3の進捗状況】順調に進展している。他国でも翻訳版が策定されている当該質問紙の日本語版作成が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
【課題1】症例集積は順調であった。各症例の診療録情報調査を後ろ向きに行い、記述的なまとめおよびデータ解析を行っていく。学術集会での報告および論文作成を行う。 【課題2】研究計画立案に向けて進めていく。 【課題3】策定した質問紙を用いた調査を行うべく、プロトコールの立案を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は、研究実施および各種学術的情報収集(海外を含めた学術集会等の参加)を予定していたが、2020年冬季からのコロナ禍の影響や所属機関における海外渡航の禁止措置もあり、旅費使用が予定よりも大幅に少なかった。 人件費に関しても、直接雇用が難しい状況であった。
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