2020 Fiscal Year Research-status Report
集団的アプローチにもとづく漫画動画を利用したストレスマネジメント介入の評価研究
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20K03463
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
堀内 聡 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20725999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (00454918)
岩野 卓 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (30782453)
瀧井 美緒 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (50846318)
青木 俊太郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60786416)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ストレスマインドセット / ストレスの肯定的効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
漫画動画を利用したストレスマネジメント介入プログラムの作成に向けた第一歩として、ストレスの肯定的な効果に関するエピソードを収集した。20歳以上の学生100名を対象としたweb調査を行った。その内訳は男性50名、女性50名、大学生が69名、専門学校生が14名、大学院生が7名、その他が10名であった。調査内容は、ストレス(イライラする、落ち込む、不安になる、虚しい気持ちになる、悲しくなるといったネガティブな気持ちになる出来事を体験すること)とそこから得た肯定的な効果であった。 68名から有効回答を得た。当初はストレスの肯定的な効果として、健康に関する効果、学習に関する効果、生産性に関する効果を想定していた。得られた回答の多くが、学習に関する効果であった。主に4つの肯定的な効果が見いだされた。1つめは、ストレスに対する耐性の上昇である。例えば、「入っていた部活で監督や先輩から怒鳴られることが多かった。辛かった。この経験を通して、辛いこと、嫌なことがあっても落ち込まないメンタルを手に入れた。」というエピソードが含まれていた。2つめは、他者との関係が深まることである。例えば、「部活の練習がキツすぎてすぐに辞めたくなったが、結局卒業まで同じ部活で過ごした。部活を通して素晴らしい同期、先輩、後輩を得た。」というエピソードが含まれていた。3つめは、自己に関する気づきである。例えば、「就職活動で、リクルーターの方にエントリーシートの添削を受け、たくさんの指摘を受け、精神的に負担が大きかった。しかし、その経験を通して、自分のやりたいことをみつめなおすきっかけになった。」というエピソードが得られた。4つめはストレス対処スキルも含めたスキルの獲得である。例えば、「部活の上下関係などが厳しかった。その経験を通して、先輩に対する礼儀作法は身についた。」というエピソードが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、漫画動画を利用したストレスマネジメント介入プログラムの作成に向けた第一歩として、ストレスの肯定的な効果に関するエピソードを十分に集めることができた。これらのエピソードをもとに漫画動画のコンテンツを考えてゆく予定であった。その意味では、「概ね順調に進展している」という評価でもよいと思われる。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生のライフスタイルが変わりつつあることを受け、検討するに値する事項が生じた。そのため、あえて「やや遅れている」という評価とした。検討事項とは、新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝されている可能性があるため、新しいストレスをコンテンツに含めるべきかを検討することである。例えば、大学生の中には、学校に通学せず、オンライン授業を受けながら学生生活を過ごしている大学生もいる。また、部活動やサークル活動の自粛が行われている大学に通学する大学生もいる。これらの変化により、大学生が新しいストレスを経験している可能性は否定できない。現在収集しているエピソードは、このような新しく生じているストレスとその肯定的な効果に関するエピソードは皆無に等しい状態である。この点を十分に検討した上で、必要に応じて新しいエピソードを収集して、コンテンツを作成するという手順を踏む方が大学生の状況に合致するコンテンツが作成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が新しいストレスに曝されている可能性があるため、新しいストレスをコンテンツに含めるべきかを検討する必要があると考える。そこで、まず新型コロナウイルス感染症の流行により、大学生が経験しているストレスとストレスの肯定的な効果について情報収集を行う。情報収集の方法としては、文献検討と大学生を対象とする調査を研究チームでも行う。例えば、対面授業、部活動、サークル活動の自粛が行われていることによって生じるストレスとそれによる肯定的な効果が把握できる。これまでに収集したエピソードと総合して、新しいストレスをどこまでコンテンツに取り入れるかを議論する。その上でコンテンツ作成を行う。研究課題は順調に進めることができているので、上記の点を追加で行った上で課題を進めてゆく。もし検討に時間を要した場合は、研究期間を1年間延長して対応する。
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Causes of Carryover |
物品費、旅費、その他の経費のいずれとも支出する段階に至らなかったことが原因である。物品費としてPCの購入費を計上していたが、このPCは漫画動画のコンテンツを作成するためのものである。大学生が経験しているストレスに関する追加調査の必要性が出てきたため、購入を控えた。旅費の支出もなかった。研究チームの打ち合わせを行うために、旅費を計上していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い都道府県をまたいだ移動を自粛したためである。これらに伴い、人件費などの支出もなされなかった。
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