2021 Fiscal Year Research-status Report
リー代数の観点に立脚した幾何学的不変式論の構築とその応用
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20K03526
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
澤田 宰一 福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (80647438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フロベニウス・サンドイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度執筆中であった標数2の代数的閉体上で定義された射影平面の次数-1の葉層構造による商の分類に関する論文「Configulations of singularities of quotients of the projective plane by 1-foliations of degree -1, 0, and 1 in characteristic 2」を完成させ投稿するとともに、特異点セミナーにて、得られた結果に関する発表を行った。論文投稿の結果はリジェクトであったため、改訂をし再度投稿を行いたい。また、研究成果についてはセミナーや研究集会などで更なる発表の機会を設けていきたい。論文で考察した葉層構造による商はフロベニウス・サンドイッチになっており、特に、商は射影平面と位相同型である。そのため、得られた結果は射影平面上への特異点の配置問題の結果と捉えることもできる。論文では商の特異点配置が7A_1、D_4^0+3A_1、D_6^0+A_1、E_7^0のいずれかになることがわかった。7A_1は7個のA_1特異点が3枚のアフィンパッチで長方形の頂点に位置するような配置で、適当な座標変換を施すことで、3本の座標軸が三角形を作るような模式図では頂点とその間に3点のA_1特異点が位置し、三角形の内部にもう1点が位置する対称的な配置にできることが分かった。また、D_4^0+3A_1ではD_4^0特異点を1枚のアフィンパッチの原点に位置させ、無限遠直線上に3点のA_1特異点が位置するようにできることも分かった。特異点の配置として前者は対称的なものしか現れず、後者では3点のA_1特異点が一直線上に並ぶものしか現れない。点の配置問題では配置の「自然さ」をどう定義するかが問題になるが、この結果から商に現れる配置を「自然さ」と定義することのある種の妥当性が示唆されており興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により遠隔授業対応など本研究以外の業務が増えたため。また、勤務校で新たな校務分掌であるFD活動の取り纏め業務への従事が必要となったため。更に、コロナ禍により研究成果発表や情報収集のため他大学へ行くことが難しくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)トーリック多様体の群スキームμ_pおよびα_pによる商がトーリック多様体になることを証明し、トーリック多様体の大域的F正則Fサンドイッチがトーリック多様体になることを証明したい。この問題に関連して、局所的な問題として正則局所環の強F正則である高階フロベニウス・サンドイッチ特異点の分析や、大域的な問題として射影平面のより低次の葉層構造による商に現れる特異点の配置問題、トーリック多様体の群スキームμ_{p^e}による商の分類に取り組みたい。(2)リー代数による商の理論について、アフィンの場合の導分による商に関する幾何学的不変式論を確立させたい。また、射影的な場合については、まず射影空間などの具体例の計算を行い、一般の場合の理論構築の足掛かりとしたい。(3)点の配置問題に関して、フロベニウス・サンドイッチを通した射影平面上の特異点配置について引き続き考察を行いたい。具体的には葉層構造の次数を下げたとき、商にどのような特異点配置が現れるか考え、特異点をある種の重みとみたときの重み付き点の配置問題として、商に現れるという意味での「自然な」点の配置について詳細に調べたい。例えば、商に現れる特異点がすべてA_1特異点となる場合があるか否か、もし、そのような状況が起こるのであれば特異点の配置は7A_1のときのように対称的なものになるのかなど調べたい。また、葉層構造の次数が-1のときは、いずれの場合も最小特異点解消に現れる例外曲線の本数が7本であり、葉層構造の次数が商の最小特異点解消に現れる例外曲線の本数を統制しているとみることができた。このような状況が葉層構造の次数がより低次の場合でも起こるのか明らかにしたい。(4)これらの研究を総合してリー代数の観点に立脚した幾何学的不変式論の構築、及び、分子の配置問題などへの正標数の代数幾何学の応用を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により当初予定していた他大学での研究成果発表や研究打合せ等が出来なかったため、次年度使用額が発生した。使用計画として、研究の遂行上必要となった図書の購入、他大学での研究成果発表や研究打合せ等のための旅費としての使用を計画している。
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