2022 Fiscal Year Annual Research Report
リー代数の観点に立脚した幾何学的不変式論の構築とその応用
Project/Area Number |
20K03526
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
澤田 宰一 福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (80647438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フロベニウス・サンドイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はアフィン代数多様体の導分による商について考察を行った。この場合は底空間が位相同型のためマンフォードによるGIT商の存在の証明がそのまま適用できることが分かった。射影代数多様体についても考察を行ったが、安定などの概念を導分の場合にどう定義するかという問題を解決することが出来ず未完に終わった。今後は導分の場合、より一般にリー代数の場合について安定や半安定、線形化などの概念を確立し、代数多様体のリー代数による商の存在を明らかにし、リー代数の観点に立脚した幾何学的不変式論を完成させたい。研究期間全体を通じて、標数2での射影平面の次数-1の葉層構造による商に現れる特異点の配置の分類に成功した。この成果については、応用に関し二つの側面があると考えている。まず一つ目の側面は、純粋な正標数の代数幾何学への応用である。本研究は接束の大域切断でない切断による商の例になっており、今後、より一般的なリー代数による代数多様体の商の研究の基礎になると考えられる。また、二つ目の側面として、位相同型を通した射影平面上の特異点の配置問題と捉えることで、点の配置問題への応用が考えられる。例えば、本研究の設定では、一つのD_4^0特異点と三つのA_1特異点の配置はA_1特異点が一直線上に並ぶ配置しか現れないことが分かった。これは特異点にある種の重みをつけて射影平面上へ配置したとき、商として現れるという意味でD_4^0+3A_1の自然な配置はA_1が一直線上に並ぶものしか現れない、ということを意味しており、本成果は一般の正標数の代数多様体上への点の配置問題の研究に向けた第一歩になるものと考えられる。今後の展開としては、射影平面上でより次数の低い葉層構造による商に現れる特異点の配置について分類していき、その配置をもたらす特異点の適切な重みづけや相互関係の特徴づけについて考察を行っていきたい。
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