2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K03563
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
森澤 貴之 工学院大学, 教育推進機構, 准教授 (50724374)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代数体 / Z_p-拡大 / イデアル類群 / 単数 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度、研究代表者は以下の研究を行った。 1)pを素数とする。本研究課題において扱う無限次代数体の中で、まずは、有理数体上の無限次実アーベル拡大体を考えた。その中でも特に、有理数体上の有限次実アーベル拡大上の円分的Z_p-拡大体のイデアル類群に注目した。研究代表者は、pとは異なる素数lに対し、有理数体上の有限次実アーベル拡大上の円分的Z_p-拡大体のイデアル類群のl部分が自明であるかどうかという問題について、有限次中間体の単数群と円単数群の構造を調べることで研究を行った。この単数群と円単数群の構造を調べるための道具として、新たに、解析数論の分野の『代数体上の単数方程式の解の有限性』を上手く用いることができるのではないかと考え、研究を進めている。 1)pを素数とする。上述の無限次代数体の中でも、特に、有理数体の円分的Z_p-拡大体のイデアル類群についてより深く研究を行った。この有理数体の円分的Z_p-拡大体についても、pとは異なる素数lに対し、そのイデアル類群のl部分が自明であるかどうか、という問題に注目した。さらに、lがpの2乗を法とした原始根である場合について、有理数体の円分的Z_p-拡大体のイデアル類群のl部分が自明であることを示すために、堀江の単数と呼ばれる円単数が他の相対単数のl乗になるかどうかについて研究を進めた。すると、堀江の単数に対してではないが、ある種の円単数に対しては、他の単数のl乗にならないということを示すことができた。同様の手法を堀江の単数に適用するため、堀江の単数と関係のあるイデアルについて、計算機による計算を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有理数体の有限次実アーベル拡大上の円分的Z_p-拡大体の単数群と円単数群に対し、新たに、解析数論の視点から『代数体の単数方程式の解の有限性』という手法を導入しようと試みている。この分野は研究代表者にとって新たな研究分野であり、単数方程式という研究分野について学び、情報を収集するために予定外の時間をかけてしまった。そのためその分、新たな研究成果が得られたか、という意味において、研究課題自体の進み具合が遅くなってしまっているといえる。 また、例えば、虚二次体上の制限分岐Z_p-拡大体のイデアル類群のl部分の自明性についての研究は、イギリスのUniversity College LondonのJack Lamplugh氏と現地での議論を行うことで共同研究を進める予定でいた。しかし、2020年度のコロナの状況により、現地ロンドンに行って議論を進めることができず、残念ながら研究は滞っている。同様に、無限次代数体上のイデアル類半群の研究においても共同研究を進める予定であったが、対面することが難しい状況であるため、後回しになってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに学び、情報を収集してきた、解析数論の『代数体上の単数方程式の解の有限性』という定理を、有理数体上の有限次実アーベル拡大上の円分的Z_p-拡大体のイデアル類群のl部分の自明性の研究に応用していく。そのためには、有理数体上の有限次実アーベル拡大上の円分的Z_p-拡大体のよい円単数を選ぶ必要がある。このよい円単数の選び方を調べるために、まずは全ての基礎となる有理数体上の円分的Z_p-拡大体の有限次中間体に注目する。特に小さな素数pと、pとは異なる素数lに対し、計算機を用いて、様々な形の円単数の計算をし、傾向を調べる予定である。 虚二次体上の制限分岐Z_p-拡大体のイデアル類群のl部分の自明性についての共同研究に関しては、遠隔での議論ができる環境を整え、進めていこうと考えている。 無限次代数体上のイデアル類半群の研究については、コロナの状況が許せば、直接対面して議論を行い、研究を進めていく。それがかなわないようであれば、こちらも遠隔での議論を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナにより、当初予定していた全ての出張がキャンセルとなったため。
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