2020 Fiscal Year Research-status Report
The search for ergodic Ramsey theory and Erdős conjecture toward the construction of infinite ergodic theory
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20K03642
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
夏井 利恵 日本女子大学, 理学部, 准教授 (60398633)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / ユークリッドアルゴリズム / 連分数変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無限大不変測度を持つ可測力学系におけるdeterminismとrandomnessの概念に着目し、様々な数論的変換のエルゴード理論的研究を通して、determinismとrandomnessの違いを捉える新たな不変量を見出すことにより分類問題を考え、このような系の一般的体系を築くことにある。特に、Erdos予想との関連を強く意識した中で無限大不変測度を持つエルゴード変換に着目し、ergodic Ramsey theoryを追究して行く。上述の目的に向かった研究実施計画の中で、当該年度に取り組んだ研究の主な実績は以下の通りである。 [1] 有限体を係数とする多項式に対するユークリッドアルゴリズムの自然な一般化としての様々な数論的アルゴリズムの解析とそのエルゴード理論的性質の導出. 具体的には、評価関数として導入したfine bit complexityを用いて、有限体を係数とする二つの多項式に対するユークリッドアルゴリズムの計算コストを評価した先行研究を三つの多項式に拡張し、Brun algorithm, Jacobi Perron algorithm, fully subtractive continued fraction mapsなどの様々な数論的アルゴリズムの計算コストの評価や比較を行った。 [2] 虚二次体上での複素連分数変換のエルゴード理論的性質の追究. 具体的には、先行研究であるガウス数体上に定義されたHurwitz complex continued fraction mapに対するnatural extensionの構成などのエルゴード理論的結果を拡張し、虚二次体上での幾つかの複素連分数変換に対するLegendre constantの存在証明とそのエルゴード理論的性質の導出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的や研究計画は明確に立てていたが、当該年度は全く予期していなかった新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた進捗状況より遅れていると言わざるを得ない。 特に、本研究を効果的に推進するために必要不可欠であった共同研究・研究討論・打ち合わせのための国内外出張が一切できなかったことが大きな要因である。さらに、海外研究者の招聘を計画していた研究集会も中止せざるを得なくなった。 また、新型コロナウイルスの流行に伴い、当該研究以外の業務への対応が必要となり、当初の予定よりも当該研究課題へのエフォートが確保できなかったことも進捗状況が遅れた要因の一つである。 研究計画の特性上、対面による議論、すなわち、出張を伴う研究遂行を主軸に置いており、さらに、先の状況を見通すことが非常に困難であったため、当該年度は研究計画を立て直すことが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により、2021年度も国外出張による研究の進展は見通しが立たないと考えている。そこで、国外出張を伴う研究計画は2022年度以降に重点を置き直す。 具体的には、まず当該年度の研究計画のうち、あまり推進することができなかった研究テーマである「無限tree上のMarkov systemに対するnon-conventional ergodic theoryの追究」に焦点を当てて研究を推進することにより、無限大不変測度をもつ変換から作られる数列に対するergodic Ramsey theoryの追究につなげて行きたい。 特に、2021年度は引き続き新型コロナウイルスの影響により対面での研究討論や情報収集が難しい場合には、オンラインを活用することにより少しでも効果的に推進させて行く。 状況に応じて、より効果的に研究が推進できるよう柔軟に対応して行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルスの感染拡大により、計画していた国内外の出張が全く出来ず、さらに、海外研究者を招聘した研究集会も中止せざるを得なかった。当該年度の研究計画は効果的な研究推進のために国外出張を伴った共同研究、並びに、研究討論に重点を置いており、そのために必要な旅費が研究経費の比重を占めていた。しかしながら、全く予期していなかった感染拡大により、これらがすべて全て中止になったことにより、旅費の予算が未執行となった。また、当研究課題に対するエフォートを予定よりも確保することができなかったことも理由の一つである。 使用計画:2021年度に国内外の出張が可能であれば、積極的に遂行する予定であるが、現時点では先行きが見えない状況である。そこで、オンラインによる効果的な遂行も同時に模索し、そのための準備費用に充当する予定である。また、新型コロナウイルスの状況次第では、2022年度以降に海外出張を伴った研究遂行に重点を置く必要性も考えている。
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