2023 Fiscal Year Research-status Report
The search for ergodic Ramsey theory and Erdős conjecture toward the construction of infinite ergodic theory
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20K03642
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
夏井 利恵 日本女子大学, 理学部, 准教授 (60398633)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / 複素連分数変換 / natural extension |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無限大不変測度を持つ可測力学系における determinism と randomness の概念に着目し、様々な数論的変換のエルゴード理論的研究を通して determinism とrandomness の違いを捉える新たな不変量を見出すことにより分類問題を考え、このような系の一般的体系を築くことにある。特に、Erdos予想との関連を強く意識した中で無限大不変測度を持つエルゴード変換に着目し、ergodic Ramsey theoryを追究する。上述の目的に向かった研究実施計画の中で、当該年度では、虚二次体上の様々なタイプの複素連分数変換や実数体上のα-Farey mapsのエルゴード理論的研究に焦点を当てた。主な研究実績は以下の通りである。 [1]ユークリッド数体上での nearest integer 型複素連分数変換のエルゴード理論的性質の導出 ユークリッド数体上での定義された8種類の nearest integer 型の複素連分数 CF(1,R), CF(2,R), CF(3,H), CF(3,R), CF(7,H), CF(7,R), CF(11,H), CF(11,R) に対して、それぞれに付随する複素連分数変換の natural extension の構成に成功した。さらに、その基本領域が finite range structure を持つことや simply connected であることなど、その構造についても明らかにすることができた。本研究成果は後述の研究成果(研究発表欄の[雑誌論文])に記載の学術論文にて発表している。 [2]α-Farey maps の natural extension の構成 実数のα-連分数展開において、その中間近似分数を導出する写像である α-Farey maps について、すべての0<α<1に対する natural extension の構成を試みた。本研究は、K.Dajani, C.Kraaikamp, H.Nakadaとの共同研究として取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度も研究成果を学術論文にて発表することができたことは大きな収穫であり、おおむね順調に進展していると言える。また、当該年度は、研究計画の大きな柱である、海外研究協力者との研究連携の一環として、海外研究者の招聘、並びに、研究集会「Recent Progress in Ergodic Theory」における海外研究者の講演がようやく実現した。これまで新型コロナウイルス影響で face-to-face で海外研究者との共同研究打ち合わせや研究討論をすることが叶わなかったが、当該年度は国内ではあったが、それらを実現することができたことは大きな収穫であった。一方で、大学業務が立て込んでおり、当初計画していた共同研究・研究討論・研究打ち合わせのための海外出張を諦めざるを得なかったことが非常に残念であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間に生じた新型コロナウイルスの影響、並びに、当該年度も海外出張による研究の進展を実現することが出来なかった為、より効果的な研究推進のため国外出張、ならびに、研究連携を行っている海外研究者の招聘を伴う研究計画の実施を2024年度に延長し、研究を推進して行く。一方で、本研究に従事する以外の業務の負担が大きくなっていることも鑑み、オンラインなども活用することで、少しでも効果的に推進させて行く。様々な状況に応じて、より効果的に研究を推進することができるよう柔軟に対応して行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由:本研究課題への従事以外の大学業務などが立て込んでしまい、予定していた国外出張の実現が叶わず、さらに、計画していた海外出張についても間際でキャンセルせざるを得なかった。当該年度の研究計画は効果的な研究推進のために国外出張を伴った共同研究、並びに、研究討論に重点を置いており、そのために必要な旅費が研究経費の比重を占めていた。しかしながら、上述の理由から国外出張が叶わなかった為、計画していた旅費の予算が未執行となった。 使用計画:2024年度に国内外の出張を積極的に遂行する予定である。一方で、残念ながら時間的な猶予が限られてしまっているので、同時にオンラインなどを用いて効果的に進めることも計画し、そのために必要な経費にも充当する予定である。
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Research Products
(4 results)