2020 Fiscal Year Research-status Report
完全可積分系の方程式に対する解の時間大域挙動の研究
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20K03697
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
赤堀 公史 静岡大学, 工学部, 准教授 (90437187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非線形偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
Intermediate-long-wave方程式に対し、初期値問題に対する時間大域適切性の結果の改良、およびソリトンの安定・不安定性を明らかにする事を目標に研究を行っている。 初期値問題に対する時間大域適切性の結果を改良するためには, 分散型評価の改良やI-methodの応用が最近までの研究における主な手法であったが、これらの方法だけでは期待する結果を得る事が困難であり、Intermediate-long-wave方程式が持つ完全可積分性を利用する必要がある。Intermediate-long-wave方程式と関係が深く同じく完全可積分系の方程式であるKdV方程式では既に最良の結果が得られているため、KdV方程式における方法の応用を試みている。まずはKdV方程式の手法を直接応用する事を試みたが、Intermedeiate-long-wave方程式は線形部分の構造が複雑であり、KdV方程式の手法を単純に真似して結果が得られるほど容易ではない事を確認できた。このような状況は本研究の申請段階から想定済みであり、適当な変換を施し、KdV方程式の摂動と見なす方法を試そうとしているが、研究の途中である。 比較的難しい問題に挑戦する場合は、長い期間、期待する結果を得られない事は覚悟しているが、研究実績や研究業績も求められるため、本研究で想定している方法をIntermedeitate-long-wave方程式より単純な方程式に応用し、幾つかの結果を得る事ができた。この結果は論文にまとめ投稿し、現在審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題での最終目標を達成するためには、多くの研究時間が必要な事は想定していた。特に、既存の研究手法を単純に応用するだけでは問題を解決する事は困難である。現在までの研究により、少しずつではあるが、困難を解決するために必要な事が明らかになっている。特に、本研究課題の申請時に想定していたものと同じであり、研究の方向性が間違っていない事が分かった。 このような状況を踏まえ、本研究は、おおむね順調に進展している、と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Intermediate-long-wave方程式に対する初期値問題の大域適切性の結果の改良を目指す。 2020年度の研究により、期待する結果を得るために必要な研究の方向性は定まり、本研究課題の申請時と同じ計画で良い事が分かった。そのため、当初の計画どおり、Intermediate-long-wave方程式をKdV方程式の摂動方程式と見なし、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響のため、予定していた海外での学会講演がオンラインになった事、および国内外の全ての出張ができなくなった事により、予定した旅費が使用できなかったため。 新型コロナウイルス感染の不安が無くなり、国内外の出張が可能になれば2020年度に予定していた出張を2021年度に行いたい。新型コロナウイルスの影響が続く場合は、国内外の研究者とのオンラインでの議論の環境を整えるために、研究費を活用したい。
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