2020 Fiscal Year Research-status Report
A mathematical study of dimensionality reduction and embedding by theories of delay-coordinate systems and algebraic geometry
Project/Area Number |
20K03747
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 直人 京都大学, 国際高等教育院, 特定講師 (30612642)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 裕大 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (50761136)
宮路 智行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20613342)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 遅延座標系 / 代数幾何学 / 次元縮約 / 埋め込み理論 / データ駆動型解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は遅延座標埋め込みによる力学再構成手法を,代数幾何学の消去理論を元にして構成的観点から解明することを目的としている.遅延座標埋め込みは力学系の変数のうち限られた観測変数の時系列データから全体の力学系の情報を抽出するための手法であるが,データの埋め込み方に対して結果がロバストでない場合が多く,さらに観測変数から元の力学系の情報を再構成する方法に対してもデータ解析の実用上の問題点がある.その上で本研究では力学系の縮約に関してGroebner 基底によって得られる縮約方程式の性質を詳細に調べた.与えられた力学系から着目する変数に閉じた方程式を導出するためにGroebner基底を用いる手法は知られているが,この手法を逆にたどることで元の方程式の候補を定める手法を提案した.縮約方程式の定める代数多様体の特異点を検証し,ブローアップによる変数の設定を適切に行う.同じ縮約方程式を持つ高次元の方程式は無限に存在するが,その中から元の力学に対応するブローアップとなるように設計することが必要である.その選択に対しても代数多様体に対する数学的な考察が重要であることがわかった.ここで得られた知見は論文として発表するために準備中である.また,本研究ではGroebner基底の理論が重要な役割を占めるが,高次元の場合では数値計算における計算が負荷が非常に大きく,現実的な計算が困難であることも知られている.元来のGroebner基底と同じ情報は我々の研究では必要ないので,最小限の計算で済むように漸次検討を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は当初の予定通りに成果が得られているのが主な理由である.研究代表者のデータ解析の知見に加え,研究分担者の持つ代数幾何学と力学系の専門知識を合わせ,かつ3者の緊密な連携の下で研究が推進できたことが重要であった.成果が上がっていることもあり,おおむね順調に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は前年度に得られる成果を統合し,力学系の縮約と復元に関する理論整備を行う.縮約方程式からのGroebner基底に基づく変数の構成的な復元は本研究における重要な役割を占めることから,特異点解消のためのブローアップと力学再構成可能性についてさらに調べる.再構成についてはPoincare断面を取るなどして再現の一致度の定量的な評価法を試したい.また,実データに対してデータ駆動型モデリングとそれによる時系列解析研究に着手する.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は新型コロナウイルス感染症の影響により旅費として計上していた分を執行しなかったためである.また,数値計算手法の工夫から当初の予定より計算機関連の消耗品の購入を押さえることができたことも理由として挙げられる.2021年度に正常化されれば学会参加等のためや,異動した分担者との研究打ち合わせの旅費として使用する計画である.
|
Research Products
(6 results)