2022 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of electric toroidal quadrupole order by magnetopiezoelectric effect
Project/Area Number |
20K03825
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日高 宏之 北海道大学, 理学研究院, 助教 (90466459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電気トロイダル四極子 / 奇パリティ多極子 / 交差相関応答 / 磁気圧電効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体中における多様な秩序状態は一般に、電荷・磁荷分布の異方性を特徴づける「多極子」で表現することが出来る。特に、結晶構造に空間反転対称性を持たない固体中では、「空間反転操作に対して奇の対称性(パリティ)を持つ多極子」の秩序が起き、その結果通常の金属では発生しえない交差相関応答、例えば電流によって誘起される結晶格子の歪みなどが観測される可能性がある。本研究では、この奇パリティ多極子秩序の一種である「電気トロイダル四極子秩序」に起因した「電流誘起格子歪み」を観測することを主たる目的とした。 対象物質の一つであるCd2Re2O7については、2021年度までに我々が独自に構築・改良してきた電流誘起格子歪み観測システムを用いて、電気トロイダル四極子秩序に関連すると考えられる電流・磁場誘起格子歪みの発現を発見していた。2022年度には、その再現性を確認するために異なる試料片を用いた追試実験を行ったが、これまでの実験では有意な電流誘起格子歪みを観測できていない。理由としては試料性の違いやドメインによる応答の相殺などが考えられる。今後はこの問題を解消するために、ドメイン制御下における測定システムの構築などが必要である。 もう一つの対象物質であるCeCoSiにおいては、有意な電流誘起歪みは観測されなかった。しかし、本研究期間を通じて行ってきた全ての結晶主軸方向に対する磁場中バルク物性測定と詳細な磁場-温度相図の作成により、本系の特異な低温秩序状態の特徴が明らかになってきた。我々の作成した磁気相図は、本物質の今後の研究における土台となるものである。また、0.2万気圧程度と未だ低圧ではあるが、本物質の高圧下熱膨張のデータも出始めているところである。 上記の研究に加えて、局所的に空間反転対称性を持たない金属磁性体である希土類およびウラン系金属化合物など他の物質系への研究対象の拡張も行った。
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Research Products
(26 results)
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[Presentation] Electric Quadrupolar Response in the Magnetic Phases of UNi4B2022
Author(s)
T. Yanagisawa, H. Matsumori, H. Saito, H. Hidaka, H. Amitsuka, S. Nakamura, S. Awaji, D. I. Gorbunov, S. Zherlitsyn, J. Wosnitza, K. Uhlirova, M. Valiska, and V. Sechovsky
Organizer
International Conference on Strongly Correlated Electron Systems 2022 (SCES2022)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] X線分光法によるEuBe13中のEu3+ 4f電子の熱励起に関する研究2022
Author(s)
浜原健太, 井角元, 田村浩太郎, 柴垣善則, 川端拓, 河村直己, 佐藤仁, 上田茂典, 水牧仁一朗, 日高宏之, 網塚浩, 魚住孝幸, 三村功次郎
Organizer
日本物理学会2022年秋季大会
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