2022 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉ダイバータ材ブレージング接合界面での照射欠陥を伴う熱的三次元組織変化解析
Project/Area Number |
20K03899
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋田 雄介 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20756572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健太 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10581118)
菱沼 良光 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00322529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核融合炉材料 / 電子顕微鏡 / マルチスケール組織 / その場観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までの成果として、酸化物分散強化(ODS)銅合金-純タングステンのブレージング接合において、金属ろう材ならびにODS銅合金層において熱影響が発生し、ボイドの形成や結晶粒の粗大化が起こっていることが見出された。そこで2022年度は、ODS銅合金における銅-酸化物界面に注目した熱的組織安定性の評価を行った。 実験は、我々のグループで開発を進めているイットリア分散Cu合金を用いた。また、熱的組織安定性評価には、こちらも我々が開発したバルク試料対応型の透過電子顕微鏡(TEM)内その場加熱観察システムを用い、さらに今回初めて高分解能走査TEM(STEM)観察法を導入した。このとき観察試料については、集束イオンビーム(FIB)装置にてガリウムイオンを照射し、切削加工を行うことで作製した。 初期組織には、もともと合金中に含まれる転位とガリウムイオンにより生成した照射ダメージが多数みられた。そのまま実用想定温度である400℃まで上昇させたところ、照射ダメージは回復により消失した。一方で、Cu粒界および粒内に分散していたイットリア粒子については、変化はみられず、界面構造についても室温時と差がみられなかった。また、初期から存在していた転位もほとんど変化はみられなかったが、一部はイットリア粒子と相互作用しているようなものもみられ、これは合金設計時の狙いの通り、分散させたイットリア粒子が転位運動の阻害していることを示唆しているものと考えられる。本年度得られた知見と2021年度までの成果と合わせると、銅-タングステン接合材を作製するうえで重要となるプロセスは、ろう材の反応に伴い発生する接合熱影響部の制御であり、その後の実用温度環境においては高い組織安定性を有することがわかった。
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