2020 Fiscal Year Research-status Report
福島原発トリチウム汚染水問題解決を目指した核力第一原理計算によるt+p反応の分析
Project/Area Number |
20K03967
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青山 茂義 新潟大学, 学術情報基盤機構, 教授 (60311528)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核力第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トリチウム汚染水問題を解決するための糸口として、核種変換によりトリチウムを消失させるための基礎反応であるt+p→3He+n反応を分析し、どのようなエネルギーで陽子をトリチウムにぶつけるのが変換効率がよいのかを理論的に明らかにする。これにより、「トリチウム消失実験のための基礎データ(断面積等)を提供する」のが目的である。 本研究では,トリプルグローバルベクトル法に微視的R行列理論を組み合わせた核力第一原理計算の手法を用いる。また,スーパーコンピュータ(超並列計算機)を用いた大規模数値計算を行う。 全角運動量J=0の場合については,基本的な分析は終了しており,既にPhysica Review C誌で発表を行った。本申請では,相互作用依存性など,全角運動量J=0状態の詳細分析を行う。また,全角運動量J=1とJ=2の場合も同様に計算を行う。これにより,本研究課題で興味のある低エネルギー領域での全断面積を求めることが可能になる。 2020年度実施予定していた全角運動量J=1とJ=2の場合のt+pの反応率の計算を行うための試験計算と計算コードの調整は終了し,実際の数値計算を実施した。これにより,完全変換がJ=0の場合だけであることが明らかになった。 その成果の一部について,国際会議「The 8th Asia-Pacific Conference on Few-Body Problems in Physics」で口頭発表(オンライン)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度実施を予定していた全角運動量J=1とJ=2の場合のt+pの反応率の計算を行うための試験計算と計算コードの調整は終了し,実際の数値計算を実施した。その成果の一部について,国際会議「The 8th Asia-Pacific Conference on Few-Body Problems in Physics」で口頭発表(オンライン)を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画にしたがって,トリチウムと陽子の完全衝突(完全変換)がなぜ起きるのか分析する。これは2020年度に得られた波動関数を用いて分析を行う。特に2021年度には,分析するための数値計算コードは、既存のものがないので、新規開発を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,発表予定の国際会議が2年間の延期となった。使用しなかった旅費の一部は,翌年度以降に予定していたノートパソコンなどの物品に用いたが,残額が発生した。
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