2022 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of rotating black holes in AdS
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20K03976
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村田 佳樹 日本大学, 文理学部, 准教授 (00707804)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、6次元の等角運動量Myers-Perry black stringに焦点を当て、回転black stringの安定性に対する重力摂動の超放射散乱の影響を調べた。その結果、高速回転するblack stringは、その長さがある閾値より小さい場合は、重力超放射モードに対して不安定になることがわかった。この不安定性は、black stringの方向に沿った運動量が、超輻射モードの閉じ込めを可能にするポテンシャル障壁を作ることによって起こる。しかし、5次元のMyers-Perryブラックホールは安定な粒子軌道を持たないため、他の既知の超輻射不安定性とは異なり、このblack stringは方位角モード数が十分に大きい摂動に対して安定である。あるパラメータでは、この不安定性はGregory-Laflamme不安定性と競合するが、それ以外では独立して存在する。この不安定性は縮退しており、複数の定常解に分岐する。超放射不安定性の発生から生じる回転弦の2つの異なるファミリーblack resonator stringとhelical black stringを構築した。我々は、5次元のKerr black stringには同様の不安定性が存在するが、D>6の等角運動量Myers-Perry black stringには存在しないことを論じた。
超放射は、回転または荷電したブラックホールによって引き起こされる波動増幅過程として知られている。我々は、漸近的にAdS空間におけるブラックホールの超放射は、エネルギー抽出の能力によって特徴付けることができることを発見した。具体的には、Reissner-Nordstrom-AdS4とKerr-AdS4から、AdS境界の適切な時間依存境界条件下でエネルギーを抽出できることを実証することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画で行って来たことを起点として、上で述べたような、「新しいブラックストリングの不安定性の発見」・「black resonator string解の発見」・「helical black string解の発見」といった幅広い研究につなげることが出来たため。また、一般相対論ではよく知られていたブラックホールの超放射条件は、AdS/CFT対応を通して場の理論で解釈すると、エネルギーが熱状態から抽出できるかどうかの条件に対応することが発見されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.高い振動数を持つ共鳴ブラックホール解の構成: 共鳴ブラックホールは、定在重力波の持つ固有振動数で特徴付けされる。先行研究で超放射不安定性の終状態として予言されているのは、固有振動数が無限に大きい共鳴ブラックホール解である。よって、我々は特に高振動数を持つ共鳴ブラックホールを構成する。共鳴ブラックホールの相図を決定し、熱力学的な安定性を調べる。 2.超放射不安定性の非線形シミュレーション: SU(2)対称性を保つ条件下で、超放射不安定性の非線形時間発展を追う。終状態のブラックホール解を特定し、そ れが場の理論側でどのような相に対応しているのかを決定する。裸の特異点が形成された場合は、それが場の理論側でどのようなシグナルとして現れるかを調べる。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルスの影響により海外出張に行く機会が減ったため。 使用計画:状況が改善されれば、次年度使用額は海外旅費として使用し、研究成果発表を積極的に行う。改善されない場合は、国内の研究者との議論を積極的に 行うための国内旅費に使用する。または出張数値計算効率を上げるための計算機を導入するために使用する。研究者の招聘や、研究会の開催も検討する。
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