2020 Fiscal Year Research-status Report
A bottleneck-free data acquisition system for particle measurements
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20K04005
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (50311121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智則 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 協力研究員 (80612134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DAQ / データ収集 / 粒子線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、単一 PC サーバー上において全体制御についての設計、研究およびトリガーレスデータ収集の動作検証を進めることが出来た。 数千あるプロセスをネットワーク上で制御することを念頭に置き、全体制御にはシンプルなキーバリュー型のデータベースを用いることにした。いくつかのキーバリュー型データベースの候補を検討し、機能やパフォーマンス、メンテナンス継続性などから Redis を選択した。この Redis 上のデータベースでランコントロール情報を一括で管理することで同一のランコントロール情報を各々のプロセスから読み出しが出来るようになった。また Redis にはデータベースの値の変更を知らせる通知の機能があり、この機能を用いてデータベース上のランコントロール情報が変更されたことを必要なプロセスに伝え各データ収集プロセスの状態遷移機械の状態を遷移させるような仕組みを構築することが出来た。おなじ仕組みでプロセス側の情報をデータベースに反映しデータベースでプロセスの状態を把握、そしてデータベース上にある機器初期化パラメータを読み込み適切なタイミングで機器の初期化を可能とした。この仕組みとデータ収集システムのベースになっている FairMQ を使ったデータ転送を組み合わせることですべてのデータ収集プロセスをデータベースからのランコントロールにより制御することに成功した。 これらのことは、小規模ながらデータ収集フレームワークとしてのすべての機能をテストベンチの上で検証したことになり、小規模であれば粒子線計測実験でトリガーレスデータ収集を実際のデータ収集に用いることが出来ることが実証されたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究におけるチャレンジの一つは数千のデータ収集プロセスを整合性をもって制御すること、そして数千のデータ収集プロセスの状態を把握することである。本年度の研究によりこの部分にキーバリュー型データベースを用いることで、統一的に全体の制御と把握を行うことが出来ることを実証できた。この事は本研究において一つ山を超えることができたことを意味し、多数プロセスの協調動作の研究に進むことが出来る。研究初年度においてこの問題にめどをつけることで来たことは、研究全体の流れの中でおよそ3分目くらいに位置すると考えられ、研究はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な機能の実証はなされたため、次年度以降においては、2つの方向性をもって研究を進める。 一つは実際の実験に適用して実際に運用可能であることを示していくこと。これは、現在 J-PARC ハドロンホールで実施されている E16 実験のデータ収集の一部において、開発されたシステムを適用してデータ収集の実証を行っていくことで勧めていく予定である。 もう一つは制御するプロセス数を増やしていくことである。目標としては数千のプロセスを用いて並列データ収集を行うことなので、テスト環境を複数の計算機に分散し、異なる計算機上でより多くのプロセスを用いて動作実証および問題の洗い出しと解決を進めていく。そのためのプラットホームとしては J-PARC で準備が進められている COMET 実験用のデータ収集計算機群および商用クラウド計算機環境の短期間利用を検討している。
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Causes of Carryover |
テストベンチを構築するための動作検証用サーバー計算機を購入することなしに、J-PARC ハドロンホールで実験を行うための計算機を借用することが出来た。これを用いることでテストベンチを構築することが出来、それにより当該年度の研究を進めることができた。 次年度以降においては多数の計算機を用いた大量プロセスを動作させる試験と実際の粒子線計測実験に適用して有効性の実証を行う予定である。 次年度使用額はこれらの大規模試験用の環境構築と実証試験のための機器の購入に用いる予定である。
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