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2020 Fiscal Year Research-status Report

A preliminary study of the Bedsore Suppression by Nightclothes coating technique

Research Project

Project/Area Number 20K04250
Research InstitutionOyama National College of Technology

Principal Investigator

田中 孝国  小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30413743)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsムチン / 摩擦
Outline of Annual Research Achievements

ムチン懸濁液の摩擦力低減のために、介護服にムチン懸濁液を塗布し、人工皮膚に対しての摩擦係数の測定を実施した。ムチン懸濁液塗布の方法は、懸濁液を対象物に滴下する手法を採用した。その理由は、スプレーでは懸濁液中のムチンが孔に詰まってしまったためである。摩擦試験の結果、静摩擦係数は、ムチンの濃度0-200[g/L]間で増大し、300-500[g/L]間の濃度で低減、600[g/L]で再び増大する傾向にあった。ムチン懸濁液は濃度500[g/L]において最小静摩擦係数0.182[-]を示し、未塗布の場合と比較すると52%の静摩擦係数減少が確認された。ムチン懸濁液の濃度変化に伴い静摩擦係数が変化したが、これはムチンの分子間会合による凝集特性が関与していると考えられた。0-200[g/L] 間で静摩擦係数が増大した理由として、摩擦試験によって剥離した介護服の布繊維に対し、ムチンが吸着したことが考えられた。一方、300-500[g/L] 間で静摩擦係数が減少した理由としてはムチン同士が近づき斥力を生じたために、液中でムチンの立体安定化が引き起こされ静摩擦係数が減少したと考えられた。また、600[g/L]以上ではムチンのコアタンパク質同士が密着した際に引力が生じ、凝集したために静摩擦係数が増大したと考えられた。同様に、ムチンを人工汗液に懸濁させた場合についても摩擦試験を実施し、人工汗液の成分の影響はないことを確認した。
摩擦前後で介護服繊維の表面状態に変化は見られなかった。人工皮膚は摩擦部表面に白色の凝着物が確認された。この凝着はムチン濃度0-200[g/L] 間で不均一に、300-500[g/L] 間では人工皮膚に対して均一に薄く、600[g/L]では人工皮膚組織が埋もれる厚さで凝着していた。従って、人工皮膚組織に対する凝着が薄く均一である場合、静摩擦係数が減少することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、寝衣にムチンを簡単にコーティングする検討および、ムチンがコーティングされた寝衣が皮膚におよぼす摩擦低減効果について検討を実施した。これまで本研究で得られた結果より、ムチンは懸濁液で滴下塗布することで、人工皮膚と介護服間で、摩擦低減効果を同量の切削油や潤滑油よりも示すことが判明した。これらの結果から、ムチン懸濁液は材料表面をコーティングするだけで、生物の上皮細胞の表層を生体外であっても模倣する可能性を有すること、対象物が固体であれば全ての物質にコーティング可能であることが判明した。これは、床ずれの発症が予測される箇所にあらかじめムチン懸濁液を塗布しておくで、床ずれの予防につながる技術であることが示唆される知見であると考えられた。この摩擦試験と同時に実施した、簡易手動摩擦試験機による実験では、ムチン懸濁液を材料表面に塗布することで、金属板-ゴム間においても静摩擦係数の減少を示し、潤滑能を付与することが判明した(投稿中)。
以上の結果より、物体間のムチン懸濁液の潤滑能について、二物体の接触する表面にムチン懸濁液の塗布を行うことで、ムチンが粒子状物質として物体間に挟まり、接触面積を減らすことで、摩擦を低減していることが立証された。

Strategy for Future Research Activity

ムチン懸濁液を塗布した介護服は使い捨てでは無いため、日々洗濯されることが想定される。そのため、洗濯後の介護服に塗布したムチン懸濁液の摩擦低減効果について研究を実施する。また、洗浄によって除去された場合の再塗布についても摩擦試験や表面観察を実施し、洗濯前の状態との比較を行う。

Causes of Carryover

ムチン懸濁液を塗布した介護服の洗浄準備および、摩擦試験機の改良を開始しているため、次年度に物品費として洗剤や試薬、治具などを購入する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 滑り摩擦測定装置によるムチン水溶液の潤滑能評価2021

    • Author(s)
      大関康生,那須裕規,矢島夏海,大岡久子,桑原敬司,田中孝国
    • Organizer
      第23回化学工学会学生発表会
  • [Presentation] Friction reduction characteristic of the mucin between Skin and Care clothes2020

    • Author(s)
      Natsumi Yajima , Yuki Nasu , Hiroshi Sakai , Hisako Ooka , Tomoaki Kouya ,Takakuni Tanaka, Takashi Kuwahara
    • Organizer
      5th STI-GIGAKU
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Lubrication characteristics of mucin2020

    • Author(s)
      Natsumi Yajima, Takakuni Tanaka, Yuki Nasu, Hiroshi Sakai, Tomoaki Kouya, Hisako Ooka, Takashi Kuwahara
    • Organizer
      第6回関東磐越地区化学技術フォーラム
  • [Presentation] ドジョウから採取した粘液の示す摩擦低減能の評価2020

    • Author(s)
      秋元純樹,那須裕規,酒井洋,矢島夏海,大岡久子,桑原敬司,田中孝国
    • Organizer
      第6回関東磐越地区化学技術フォーラム講演
  • [Presentation] ムチンが及ぼす高分子材料と金属間における滑り摩擦の影響2020

    • Author(s)
      大関康生,那須裕規,矢島夏海,大岡久子,桑原敬司,田中孝国
    • Organizer
      第6回関東磐越地区化学技術フォーラム講演

URL: 

Published: 2021-12-27  

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