2021 Fiscal Year Research-status Report
A preliminary study of the Bedsore Suppression by Nightclothes coating technique
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20K04250
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 孝国 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30413743)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ムチン / 介護服 / 洗濯 / 濡れ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はムチン懸濁液の持つ潤滑能について、介護服-人工皮膚間で試験を実施した。その結果、明確なムチン懸濁液を塗布すると対象物に潤滑能を付与することが判明した。今年度は、ムチンを塗布した介護服と人工皮膚間の潤滑作用だけではなく,塗布後に洗濯した介護服と人工皮膚間の潤滑作用について検討を行った。実験では静摩擦係数、動摩擦係数の両方について測定を実施した。その結果,床ずれを抑制する手法として(静・動摩擦係数を小さくするために),介護服と身体の骨突出部位の皮膚にあたる部分に,今回得られた結果であるムチン懸濁液濃度300~400 [g/L] を介護服側に塗布することが床ずれの予防(抑制)につながることが判明した。懸濁液濃度は判明した濃度以外では、潤滑能が大きく低下することも判明した。300[g/L]未満の濃度においては濃度が低かったため,ムチンが均一に塗布されなかったこと,500[g/L]を超える濃度ではムチン分子同士が密着し,様々なサイズの凝集塊が生じて均一性を保てなかったことが要因であることが考えられた。 同時に作製した手動摩擦測定装置を用いた、ニトリルゴムー高分子板(アクリル板,ポリエチレン板(PE),ポリスチレン板(PS),ポリエチレンテレフタレート板(PET),ポリカーボネート板(PC),ポリビニルアルコール板(PVC),ポリプロピレン板(PP))間におけるムチン懸濁液の働きについて実験を行った結果、ムチン懸濁液は昨年度の金属板の時と同様に、水だけの時よりも潤滑能を示し,更に高分子板へ濡れ特性を付与することが判明した。その一方で、板表面粗さと潤滑能との関係は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介護服に塗布するムチン懸濁液の濃度が判明したこと、介護服に付着したムチンの洗濯後の効能(剥離性)の確認ができたことで、中期目標が達成され、最終的な抗菌試験に臨めると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ムチンをコーティングした繊維に対して、非病原性の細菌複数種を塗布し、コーティング無しの場合との比較を行う。本来はJIS L 1902に準じたレベル2相当の細菌種の確認を行う必要性があるが、所属機関および周辺にその施設が無いため、非病原性の大腸菌や、Bacillus 属 (市販品のバイオロジカルインジケーター)を想定している。これらの細菌を単独もしくは複数用いて菌液を作成し、繊維に吸収させた後、培養し、試験片から試験菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法にて抗菌試験を行う。以上の検討を通して、ムチンをコーティングした寝衣が、繊維-皮膚の接触部位で生じる床ずれの発症を抑制する手法について考察する予定である。
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Causes of Carryover |
残額は、旅費(+宿泊費)を想定していた。この旅費を使用する予定だった学会が、発表日直前にオンライン発表に変更されたため生じたものである。
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Research Products
(7 results)