2020 Fiscal Year Research-status Report
In-situ内部可視化に基づいた可燃性固体の非定常熱分解機構の解明
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20K04331
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
大徳 忠史 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (40452049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 俊 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90197773)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 木質バイオマス / 超高速X線CT / 熱分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,不均一な温度分布を有する木質系バイオマスを対象とする.放射光X線を利用してリアルタイムで非破壊可視化計測することにより内部構造の変化,密度分布の変化を定量化し,木質系バイオマスの熱分解および燃焼メカニズムの詳細な解明を目的とする.可燃性固体への入熱速度(熱流束)を変化させる.具体的には,高温窒素を炉内に流入させる対流熱伝達による加熱方式と,可燃性固体試料へのランプヒーターからの光熱直接照射による高熱流束条件での加熱方式を適用する.入熱速度は熱分解現象の重要な影響因子となりうることが予想され,固体内部の構造や温度分布の変化,さらに固体近傍の境界層の形成に影響を及ぼすものと考えられる. 令和2年度は,SPring-8・BL20B2ビームラインで熱分解過程にある木質系バイオマス試料の超高速X線μCTによるリアルタイム3次元計測を実施できた.この実験では上述のランプヒーターからの光熱直接照射による高熱流束条件を実施した.窒素雰囲気とすることにより,気相での有炎燃焼が起こらない条件で行なった.現在は3次元画像への再構成およびデータの解析を行っている. X線透過窓を可視光透過窓ガラスへ変更することにより熱分解過程にある可燃性固体からの熱分解ガスの挙動および熱的密度変化についてシュリーレン法を適用する予備実験を開始しており,そのデータは2021年度の第58回日本伝熱シンポジウムで発表予定である. 引き続き種々の条件下での計測を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載の年度研究実施計画を遂行することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の実施計画がおおむね順調に遂行されているため,引き続き当初の計画通り実験室での基礎データ収集とSPring-8でのリアルタイム非破壊可視化計測を継続し,種々の条件下での計測を進め,熱分解現象を定量的に解明する.また,先だって進めているラボでの試料近傍の雰囲気の密度場の可視化計測を令和3年度も継続する. SPring-8の高輝度・高分解能のビームを利用するにあたり,高温雰囲気中での実験では,計測のため試験部自体の熱変形や温度場の均一化などの課題があり対策の必要があるため装置の改良を行う.
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Causes of Carryover |
令和2年度は,新型コロナウィルス感染対策の観点から,国内外の研究発表のため開催地へ赴くことができず,オンライン開催となったことなどから旅費の使用が想定より少なくなった. 研究に関して,実験装置を設計・開発し,コロナ禍ではあるが,SPring-8で実際に検証および実験を行うことができた.順調に遂行していることから,新型コロナウィルスの蔓延状況によるものの令和3年度も現地での研究がさらに必要となる.なお,SPring-8で行う実験研究は公募申請する必要があるが,状況よっては,優先課題としての申請も検討している.さらに,成果発表や調査研究として国内および国際会議への参加も予定しており繰り越した予算の使用が必要である. 以上から発生した次年度使用額を令和3年度の使用計画に組み込み申請した.
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Research Products
(3 results)