2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Stability of Vehicles on Bridges under Strong Winds by Numerical Simulation
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20K04659
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
金 惠英 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (80736439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝地 弘 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80303080)
藤野 陽三 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 名誉教授 (20111560)
シリンゴリンゴ ディオン 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(准教授) (60649507)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 横風 / 橋梁 / 車両横転 / 数値流体解析 / 風洞実験 / 車両安定解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
強風時の車両の横転事故が問題となっており,特に海上の橋梁上の走行車両は横風の影響を受けやすいが,現象は風特性や橋断面・車両形状等に影響され複雑である.事故防止のため東京湾アクアラインでは,10分間平均風速20m/s以上の場合に車種に関わらず一律で通行規制が行われているが,その合理性は十分には検討されていない.すなわち安全に走行できる車両が交通規制により不要に規制され,経済的損失や利便性の低下が生じている可能性がある.車種や車線ごとに応じた細やかで合理的な交通規制の基準を明らかにすることを目的として本研究では,まず強風時の東京湾アクアライン橋梁上の車両周りの複雑な流れ場を顕密に再現し,車両に作用する空気力を風洞実験と乱流モデルLES(Large Eddy Simulation)を用いた3次元数値流体解析により検討した.さらに数値流体解析で得られた車両全体に作用する変動空気力を車両の動的運動モデルに外力として入力し,各車輪の垂直抗力に着目し横転とヨーイングの不安定モードを定義した.さらに,この不安定現象の発現風速を路面状態や車両重量ごとに定量的に求めた.本研究で行った風洞実験及び数値流体解析と車両の安定解析の結果より,車種や車線ごとに,車両に作用する空気力及び限界風速は異なる結果を示した事より,現行の一様な規制基準に代わる車種別,車線別の合理的な通行規制基準を適用できる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度には,東京湾アクアラインにおける通行規制の高度化を目指し,東京湾アクアラインを模擬した桁上に停止した車両模型を用いて,車種や相対角度,車線を変え風洞実験を行い,車両に作用する圧力分布と空気力係数を求めた.なお風の乱れは,橋桁からの剥離状況を変化させることから,一様流と乱流中での比較も行った.その結果を以下にまとめる. 1)圧力測定の結果より,バスにおいてはLane1で,中型・大型トラックではLane1とLane2で橋桁高欄部からの剥離流の車両風上面への再付着が生じたと考えられる.また軽トラックにおいては全車線で剥離流の下側に位置したと考えられる.2)相対角度が小さくなる,すなわち車両の速度が増加するにしたがって,車両風上面に大きな正圧が作用するようになり,どの車両においてもLane3,4において各空力係数の上昇がみられた.3)Lane1では各空力係数で最大の平均値を示し,後流側の車線になるにつれ平均値は減少傾向となった.一方変動値は,Lane1と比べLane2,3,4で大きくなった.4)大型車両においては,車高が高い車両ほど,どの空力係数においても平均値は一般に大きくなった. 5)乱流下では,剥離流の位置が低くなる影響を受け,Lane3,4で各空力係数の平均値が上昇し,一様流とは違う傾向を示した. 上記のように風特性,車種別,車線,相対角度(走行速度)ごとに圧力分布・各空力係数の差は顕著であり,現行の一様な規制基準に代わる車種別,車線別の合理的な通行規制基準を適用できる可能性が示された.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,強風時の東京湾アクアライン橋梁部上の車両まわりの流れの再現と,車両に作用する空気力を求めるために,風洞実験と数値流体解析を行った.そして数値流体解析によって得られた空気力係数を用いて車両の安定解析を行い,東京湾アクアライン上のバスにおいて,不安定現象が発現する限界風速を求めた. 本研究の数値流体解析と風洞実験では停止車両を用いている.本研究でも車両の走行を相対速度法で模擬したが,より現実に即した検討を行うためには,実際に車線上において車両模型を動かしながら空気力を測定する動的な車両模型を用いた実験が必要であると考えられる.そのため,走行車両模型を用いた車両に働く変動空気力の算出を考えている. また,橋桁上の車両回りの鉛直方向流分布と橋桁-車両まわりの流れ場を考慮した上での,防風柵の設置などの空気力学的な対策を検討する.
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Causes of Carryover |
数値流体解析のソフトウェアを年間契約もので予定していたが、1年目に永久ライセンスを購入したため,ソフトウェアの年間使用料がかからなかった. 次年度には,対象橋梁は変断面部がある長いスパンを有している.そのため,風洞実験や数値流体解析では,これの再現が難しいため,走行車両を用いて横風実測を行う予定である.実測のため,3成分の超音波風速計などを購入しようとしている.
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Research Products
(2 results)