2022 Fiscal Year Research-status Report
有機質土や火山灰質粘性土の覆土や吸着層としての有効利用に関する研究
Project/Area Number |
20K04690
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
林 泰弘 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (50274692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地盤材料 / 六価クロム / 溶出挙動 / 液固比バッチ試験 / 上向流カラム通水試験 / フライアッシュ / 火山灰質粘性土 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌環境基準を超えて六価クロムを溶出するフライアッシュと火山灰質粘性土を混合した場合に,フライアッシュだけの場合に比べて六価クロムの溶出濃度が大きくなった。そこで,不溶化剤や固化材を添加して溶出対策を検討した。 まず,フライアッシュに不溶化剤とセメントを混合してフライアッシュからの六価クロムの溶出抑制を検討した。不溶化剤の種類と混合方法、セメントの混合条件を変えた試料を作製し、液固比バッチ試験と上向流カラム通水試験の結果で比較することで六価クロムの溶出抑制方法を検討した。不溶化剤の種類は多硫化カルシウムや硫化水素ナトリウム、不溶化剤の混合方法はフライアッシュの含水比を変えた試料とし、高炉セメントを用いた。液固比バッチ試験と上向流カラム通水試験から、フライアッシュに多硫化カルシウムを添加した超純水を混合し、良く馴染ませ高炉セメントを加えた試料が最も六価クロムの溶出抑制ができた。 次に,この六価クロムの不溶化処理を施したフライアッシュに火山灰質粘性土である赤ぼくを1:1の割合で混合し,フライアッシュ混合地盤材料を作製し,CBR値や一軸圧縮強さを確認した。環告46号試験を実施したところ,土壌環境基準を満足しないフライアッシュ混合地盤材料もみられた。セメント系固化材が十分に入っている試料は多硫化カルシウムの添加量が多くなるにつれて六価クロム溶出濃度を抑制することができたことから火山灰質粘性土を混合する場合のフライアッシュの不溶化についてはさらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
副産物等から溶出する重金属類を補足するような覆土や吸着層を有機質土や火山灰質粘性土で構成するシステムを想定して研究を開始した。しかし,フライアッシュから溶出する六価クロムを対象にしたところ,フライアッシュが有機物やアロフェンと接触することで六価クロムの溶出量が逆に増加するという結果を示した。そのため,不溶化剤や固化材による不溶化対策や六価クロムの溶出挙動に影響を及ぼす因子の検討を行う必要が生じ,研究の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
①不溶化剤や固化材でフライアッシュからの六価クロムの溶出抑制を達成しても火山灰質粘性土と混合することで六価クロムの溶出量が大きくなったことから,さらに適切な不溶化の方法を検討する。 ②フライアッシュから抽出した六価クロムを含む汚染水を使用して,有機質土や火山灰質粘性土での六価クロムの吸着特性を評価する。 ③火山灰質粘性土に含まれる有機物(フルボ酸とフミン酸)およびアロフェンがフライアッシュからの六価クロム溶出に影響していることは明らかにできたが,有機物とアロフェンが複合して含まれる場合の六価クロムの溶出挙動について検討する。また,母材を木節粘土から砂質土に変えた場合の溶出挙動の変化についても検討したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れに伴って,実験消耗品,委託分析費,旅費などの支出が予定より少なかった。今年度研究を引き続き進める中で,実験消耗品,委託分析費,旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)