2020 Fiscal Year Research-status Report
近年の複合災害から命を守る防災・減災のための市民・子供教育プログラムの開発と実践
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20K04836
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊村 則子 武蔵野大学, 工学部, 教授 (10257074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (20151342)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 防災・減災 / 教育プログラム / 学校教育 / 災害種別 / 防災教材 / 副読本 / 指導資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1995年阪神・淡路大震災以後も地震被害の惨状が繰り返され、近年は降雨系ハザードが頻発するなど災害リスクが変化してきた。また、日本は高齢社会・人口減少に転じるなど、社会的に災害リスクのとらえ方を変更すべき時期にきている。 複合災害から「命を守る」を共通目標に、地域で実践する防災・減災のための市民・子ども教育プログラムを開発・実践することを最終目的に、今年度は、学校教育における防災教育(「災害安全」分野)を取り上げ、 都道府県教育委員会および政令指定都市の教育委員会が発表している各地域の防災教育を分析した。調査は文部科学省の安全教育ホームページを活用し資料を収集した。これに掲載がない場合は、都道府県や政令指定都市やそれら教育委員会のホームページを補足として活用し、資料を収集した。対象は幼稚園・小学校・中学校・高等学校および特別支援学校である。 入手できた資料を対象に分析した結果、子どもが使う教材は、全47都道府県・20政令指定都市のうち、27都道府県・12政令指定都市が防災教材を企画または作成していることがわかり、ほとんどが小・中・高校生対象であった。教材が閲覧できる24都道府県・5政令指定都市の全89教材を分析したところ、教材で扱うハザードは、地震・津波・気象災害・雪害・火山・原子力・その他であった。教師用が使う指導資料は42都道府県・6政令市が作成しており、指導資料の構成・表現方法から分類し、4タイプに分けられた。地域性のあるハザード(津波・火山・原子力・雪)の考察では、その地域に該当するハザードであっても取り上げられていない場合も、該当しないハザードでも教えられている場合があった。 今年度は子どもが使う教材と教師用が使う指導資料の全国把握を行ったので、今後は両者の連携の考察や実践例の収集やヒアリング、入手できなかった資料を追加収集し、精度をあげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の下、調査研究活動が自由にできなかった(出張がかなわず)ことから、調査方法や研究を進める方法を再考せざるを得なかった。計画通りに研究を進められない中、学校教育における安全教育プログラムに関しては、知恵を絞りほぼ予定通り全国の把握をし、分析することができた。しかし、資料が収集できていない地域もあり、補足調査・分析が必要である。また、実際どのように教材や指導資料が使われているのか、現場でのヒアリング調査が実施できなかった。来年度は計画したいが、学校教育現場がコロナ対応で混乱していることから、配慮が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のコロナ禍の社会状況によって、研究活動に制約がかかることが予想できる。移動や対面調査ができなかったことを想定して、研究方法を工夫する。学校教育における安全教育プログラムに関しては、資料収集ができていない地域の補足調査(資料収集)・分析を実施する。本来ならば、実際どのように子どもが使う防災教材や教師が使う指導資料が使われているのか、現場でのモデル授業の見学やヒアリング調査を実施したいが、学校教育現場がコロナ対応で混乱していることから、Zoom活用などをしながら、2年目は配慮した方法で、調査を実施したい。また3年目を見据えて、地域での防災教育の実践事例の収集を行いたいが、地域活動のヒアリング調査やモデル事業の企画についても、学校教育と同様に、対象者に配慮しながら進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により社会状況が一変し、申請時に計画していた方法、すなわち出張および対面調査などが実施できないために次年度使用額が生じた。使用計画については、コロナ禍による社会状況にもよるが、当初の計画に戻して研究を遂行する予定で計画している。
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