2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者の曲面壁空間における空間把握に関する研究
Project/Area Number |
20K04840
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
亀谷 義浩 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (30319610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 曲面壁 / 空間把握 / 経路探索 / 探索行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、視覚障害者の曲面壁空間における空間把握を明らかにすることであり、視覚障害者を被験者として実験空間にて歩行調査をする予定である。 2020年度は、視覚障害者の曲面壁空間における空間把握に関する本調査に先立ち、予備調査を行った。予備調査は、本調査における実験空間の設定を検討するために、14人の全盲の視覚障害者および16人のアイマスクをした晴眼者にご協力いただき実験をした。特に、視覚障害者にとっての歩行空間として重要な要素である床材について、様々な建築床材料を試料として用い、本調査に適切な床材を検討している。予備調査で用いた床材は、屋内空間の床によく使用されている建材であるが、踏んだときの感覚や杖でたたいたときの音、杖の滑り具合、さらには色彩などを考慮して選定し、フローリング、カーペット、タイル、石材、プラスチックタイルとした。調査は、これらの建材の上を5m歩行するものであったが、歩きやすさとともに安全性も考慮する必要があり、また、空間を把握する手がかりになるものやならないものを判別する必要があり、現在、実験のデータを整理するとともに分析・解析しているところである。 実験に適したの床材が決定できれば、次の段階として壁面材料を決定する必要がある。壁面材料は、実際の建材を使用したいが、実験空間の作製において施工のしやすさとともに被験者にとっての安全性についても留意する必要があり、現在、段ボールパネルを用いることを予定しているが、他の適した材料も試行し、検討したいと考えている。また、実験空間の大きさや歩行距離の設定、曲面壁の曲率などを設定する必要があり、これらを検討するための予備調査が必要である。さらには、視覚障害者用誘導ブロック敷設の必要性や被験者である視覚障害者の障害程度についても検討する必要がある。これらを考慮して、本実験を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、視覚障害者を被験者として実際に予備調査である歩行実験を行うことができ、おおむね計画・予定通りに研究を遂行できたと考えている。 ただし、被験者依頼時には、コロナ感染の不安により、実験に参加できない視覚障害者も多く、被験者募集及び被験者確保には時間がかかる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の予備調査の結果を踏まえ、実験空間を設定し、2021年度は、本調査のためのさらなる詳細な設定を決定できるための予備調査を行い、2022年度における本調査に向けての準備をしたい。2021年度においても調査は、視覚障害者にご協力いただき、被験者となってもらい歩行実験を予定しているが、コロナ感染症の蔓延状況によっては、実験の実施が困難な状況になる可能性もあり、変更や修正も念頭に置きながら計画し、実施したいと考える。特に、被験者の実験場所までの移動や実験空間での感染防止環境に不安を抱く人がいるため、実験環境整備や被験者確保などについての対策が必要である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、被験者として、視覚障害者及びアイマスクをした晴眼者としたが、コロナ感染症の状況を鑑み、被験者の人数を減らすとともに、実験補助スタッフの人数も密にならないように減らしたことにより、使用額が当初予定より少なくなっている。 2021年度は、コロナ感染症の状況によるが、十分な被験者や実験補助スタッフにより実験を行いと考えている。また、コロナ感染症対策として、実験環境を十分に整備する必要があり、これら対策の費用が発生すると考えていて、2020年度の未使用分を当てたい。
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