2023 Fiscal Year Research-status Report
Spacial Evaluation method using 3D Isovist Gpaph
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20K04843
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 慎也 福岡大学, 工学部, 准教授 (70611995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Isovist Graph / 空間検索 / グラフ理論 / 空間評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,これまで2次元空間を対象としてきたisovist graph を3次元空間に適用する方法論を確立することを目的とし,さらに空間検索性(空間相互の接続性)に着目して,立体的な構成をもつ都市空間や建築空間の評価における応用手法を開発する.これによって,これまで感覚的,直感的に捉えられてきた3次元空間の特徴を定量的に評価し,建築や都市空間をデザインする際のツールとして応用できるものにする. 第1・2フェーズ(2020年から2021年)では, 3D isovist graph の基礎技術の開発を行った.ここでは,仮想の建築空間モデルを対象とした解析技術を開発した.また,大学キャンパスを対象としたケーススタディーを行い,3次元的な空間のつながりをもつ実際の都市空間や建築物を対象とした分析における,解析モデルの有効性を検証し明らかにした. 第3フェーズ(2022年)では,都市の検索性についての総合的な指標を作成するために,これまで行ってきた3D isovistの評価に加えて,さらに,3Dの立体視野を評価するための新たなプラットフォーム開発を行った.具体的には,3Dの都市空間内の外部空間を移動することを想定し,歩行者の視野から見える建物面の面積や立体角を評価するための技術である.3Disovist graphによる評価は,主に空間の繋がりや階層性などの視点で空間検索性を評価するものであるのに対して,この評価は建物の見え方などから検索性を評価するものである.これを3D isovist-graphの評価と複合的に利用することによって,空間の階層性,地形,建物の立体形状,など複数の情報を同時に総合的に評価することが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1フェーズ(2020年)と第2フェーズ(2021年)では, 3D isovist graph の基礎技術の開発を行った.ここでは,仮想の建築空間モデルを対象とした解析技術を開発し,技術的問題(視点数,視点配置,評価指標)の検証を行った.また, 大学キャンパスを対象としたケーススタディーを行い,都市やキャンパスのような3次元的なつながりをもつ空間の分析ツールとして,本解析モデルの有効性を検証し明らかにした. 第3フェーズ(2022年)では,上記のケーススタディや検証結果をふまえ,総合的な空間検索性の指標化のためのプラットフォームを構築した.具体的には,3Disovist-graphの評価に加えて,立体的な都市空間における建築物の見え方や地形などの情報を立体的に評価するための技術を開発した. 2023年度は,第3フェーズで作成した解析モデルの拡張を行った.ある観測点における立体視野を複数のレイによって近似的に再現することによって,視線が建物や地面によって遮断される時の,立体角を近似的に計算できるようにした.また,複数の観測点で,この計算を行うことによって,立体視野の遮断対象と立体角との関係を,地図上に記述し,空間的な特徴を可視化して表現できるようにした.さらにこのモデルを,高低差のあるキャンパス空間の評価に適用できるようにした. このように,当初の計画通りにおおむね順調に研究は進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
フェーズ1~3で作成してきたモデルを統合した,統合的なプラットフォームを構築する.フェーズ1,2で構築した,空間相互の視線の関係を評価するための,視線ネットワーク評価モデル,とフェーズ3で構築した,立体視野の評価モデルを組み合わせて,空間の検索性,を統合的に評価するモデルを構築する. このモデルを,高低差のある地形に立地する大学キャンパスなどの空間評価の分析に適用して,例えば,キャンパスマスタープラン策定のための将来建物配置のシミュレーションなどに応用できるかを検証する.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響によって,研究計画や学会発表などの計画に遅延が生じ,執行が遅れたため,次年度使用額が生じた. 今年度の使用計画としては,物品費として50万円程度(デスクトップPCとグラフィックカード,など),旅費に30万円程度,謝金10万円程度,を予定している.
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