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2020 Fiscal Year Research-status Report

Process of Changes with Renewal/Loss of Tenement Houses in densely built-up area of wooden buildings

Research Project

Project/Area Number 20K04857
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

山本 俊哉  明治大学, 理工学部, 専任教授 (50409497)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords長屋 / リノベーション / 地権者 / アーティスト / 転貸借 / 家守 / 運営形態 / まちづくり
Outline of Annual Research Achievements

初年度は、第一に、越後三人男と呼ばれた大規模地権者が京島地区のどこでどのように長屋を建設して賃貸経営してきたかを明らかにした。すなわち、①関東大震災後は放置された池を埋め立てながら、明治通り等の震災復興道路の整備と合わせて大通り沿いに多くの長屋を建設したこと。②戦後は、大工業を離れても先代の意志を尊重して長屋と借家人の居住継続を守り、密集事業や不燃化促進事業とはやや距離をおいてきたが、戦前に建てられた長屋の老朽化が顕著になり、止むに止まれずに建物を除却してきたこと。③最近10年間は、若いアーティストらによるリノベーションに協力し、従来の居住者と同様、廉価で貸してきたが、それは自ら投資せず、暫定的に利用しながら家賃収入を得られ、かつ試験的に運用して不動産事業の可能性を検討する上でメリットがあるという相補関係のメカニズムを明らかにした。
第二に、越後三人男とアーティストら転入者をマッチングした現代版家守のG氏らによる長屋再生プロジェクトの転貸借の展開プロセスと運営形態の特徴に明らかにした。すなわち、G氏は①越後三人男の長屋を転貸借したシェアカフェの運営が起点となり、初期の「共同運営型」から「単独運営型」「運営協力型」へと発展してきたこと、②「共同運営型」と「単独運営型」はいずれも越後三人男の子孫である家主の信頼関係をベースにして明治通り沿道に横展開してきたこと、③その横展開は都市計画道路の事業化までの有効活用策として、越後三人男にもメリットが大きかったこと、④拡大期には、他の長屋所有者にも広がり、新たな転入者も増え、ゲストハウスやアートプロジェクトによる情報発信の発展期につなげたこと、⑤いずれの転貸借プロジェクトも「作品性」を前面に押し出し、G氏の紹介による入居者による企画段階からのセルフビルドによる賃貸借プロジェクトと切り分けていたことを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍のため、当初の計画通り、現地における調査補助員(学生バイト)の協力を得た対面調査や大阪の長屋再生などの事例調査は実施できなかったが、研究計画書に記した4つの調査研究のうち3つについては、以下の理由で、概ね順調に進展している。
①長屋の除却・建替えのパターン分析;京島地区の関係行政資料と現地確認調査をもとに長屋滅失分布図を作成し、長屋の除却・建替えのパターンを密集事業等の行政施策と民間活力の市場メカニズムの作用の程度に応じて大きく4類型に分類し、上記の「研究実績」の通り、越後三人男所有の長屋に関する市街地変容プロセスを明らかにした。
②大規模地権者とその賃借人による長屋更新の対応行動の変化の把握・分析;大規模地権者の越後三人男のうち個人所有者と法人所有者の2名、その賃借人のアーティストら移住者、並びに両者のマッチングに関わる現代版家守ら主要プレイヤーのヒアリングを重ね、上記の「研究実績」の通り、越後三人男の長屋更新の対応行動の変化、現代版家守の転貸借プロジェクトの展開プロセスとその運営形態の変化を明らかにした。
③モデル街区における市街地変容のプロセスの把握・分析;最近10年間に用地買収や建替え、長屋更新等の変化が著しい3地区(街区群)抽出し、それぞれ不動産登記情報を収集・整理するとともに、その3地区の市街地変容のプロセスを把握した。

Strategy for Future Research Activity

研究計画書に記した4つの調査研究について、以下の通り進める予定である。
①長屋の除却・建替えのパターン分析;墨田区の協力を得て、密集事業等の建替え助成や用地取得のリスト、過去20年間の建築確認調書等の関係行政資料を把握し、長屋現存や新規住宅建設等の現地確認調査、5年毎の住宅地図の比較・解読を進め、昨年度作成した長屋の現存・滅失分布図を改訂する。また、昨年度分類した長屋の除却・建替えの4パターンのうち、密集事業等の行政施策による市街地変容プロセスと民間活力の市場メカニズムによる変容プロセスを把握・考察する。
②大規模地権者とその賃借人による長屋更新の対応行動の変化の把握・分析;越後三人男以外も含めた地権者とその賃借人のアーティストら移住者、並びに両者のマッチングに関わる現代版家守ら主要プレイヤーのヒアリングを重ね、それをモデル化し、その対応行動の変化を明らかにする。
③モデル街区における市街地変容のプロセスの把握・分析;最近30年間に用地買収や建替え、長屋更新等の変化が著しかった2地区(街区群)を新たに抽出し、それぞれ不動産登記情報を収集・整理するとともに、その2地区の市街地変容のプロセスを把握/分析する。
④主要プレイヤーの対応行動と関係協議組織の変化から見た密集事業の役割の考察;上記の成果を重ね合わせ、長屋の除却・建替え及び更新に関わる主要プレイヤーの対応行動の変化を明らかにするとともに、その他の地域住民が参加する京島まちづくり協議会や地域運営のアリーナ形成に関わる市民組織等の関係協議組織の最近10年間の活動内容、構成員の変化を把握・分析し、それらを通して密集事業の役割を考察する。
また、上記の考察を深めるため。コロナ禍が明ければ、昨年度実施できなかった大阪の長屋再生などの事例調査を実施する予定である。

Causes of Carryover

コロナ禍のため、当初予定していた大阪の長屋再生などの事例調査のほか、学生を使った現地調査が計画どおり実施できなかったため次年度使用額が生じた。今年度は、コロナ禍が明ければ、大阪の長屋再生などの事例調査や現地における調査補助員(学生バイト)を使った対面調査などに使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 密集事業と並行して長屋を再生2020

    • Author(s)
      山本俊哉
    • Journal Title

      造景

      Volume: 2020 Pages: 94-99

  • [Presentation] 密集事業の進展に伴う従前居住者用住宅のニーズと課題:京島地区の密集市街地変容に関する研究(1)2020

    • Author(s)
      酒井泰斉,山本俊哉
    • Organizer
      2020年度日本建築学会大会
  • [Presentation] 京島地区における長屋再生プロジェクトの展開プロセス:京島地区の密集市街地変容に関する研究(2)2020

    • Author(s)
      灰野大樹,山本俊哉
    • Organizer
      2020年度日本建築学会大会
  • [Presentation] 東京・向島PROJECT 密集市街地の防災から地域の価値創造へ2020

    • Author(s)
      山本俊哉
    • Organizer
      日韓都市デザイン交流会議

URL: 

Published: 2021-12-27  

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