2021 Fiscal Year Research-status Report
超流動ヘリウムにおける極限温度で観測される異常熱輸送問題の解消
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20K04930
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
高田 卓 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30578109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 崇弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90415042)
濱口 真司 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00311209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超流動ヘリウム / 実効的熱伝導率 / 超低温 / 極小流路 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は真空層を設けた極細管のゴーターミリンクチャネルを用いた実験の構成と前年度に行っていたGFRPを用いた簡易的な予備実験を継続して進めた。GFRP実験においては前年度に制作したものと径違いのサンプルを用意して行ったが、配線からの熱侵入量が主因となっていることが判明した。それにより、事前実験としては実験可能な温度領域の確認と実験可能な熱流束領域が確認されたにとどまった。また副次的ではあるものの、こうしたゴーターミリンク流路における間欠沸騰が液頭圧の影響を強く受けることから、液頭圧を考慮したサブクール度を念頭に置いた微少な温度差計測が肝要であることが分かってきた。 しかしながら、新作した真空層を持つゴーターミリンクチャネルについては施工の難しさ、頻発するコールドリークにより十分な実験結果を得られないままになっている。一方で、極細管の施工手順の確立、系全体の熱侵入要因で不可避となるステンレス極細管の肉厚を顕微鏡観測するなどエラー要因については計測については進めることができた。また、系全体のエラー要因となる圧力計測の精密化、排気系の改良による温度制御性の向上など、実験技術の習熟ともいえる進展はあったが、主たる目的の1.4K以下およびラムダ点近傍のゴーターミリンク定数の計測には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍に加え、他業務の増加、物流環境悪化による物品納入の遅れなどの要因により、実験機会や実験準備作業に充てる時間が大幅に少なくなり、研究の進捗が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗が遅れた要因のコールドリーク等のトラブルは解決しているため、実験回数を踏むことが課題である。限られた時間で、十分な実験回数をこなすために温度校正の方法を見直すなどして実験数を減らしても結果が得られるように工夫していくことを計画している。
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Causes of Carryover |
実験の遅れに伴い成果発表のための旅費の執行、パラメータスタディの為の径違いのサンプル制作、更には物流の乱れに起因する計測装置の納品が予定よりも時間を要したことなどにより予定していた予算執行が遅れ残予算が生じた。次年度においては実験の遅れを取り戻すことに加えて、半導体を使用するような機器の購入について入念な計画を立てて使用していきたい。
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