2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04936
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
藤野 俊和 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70508514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地引 達弘 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40322094)
柳澤 憲史 長野工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90585580)
徳田 祐樹 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部表面・化学技術グループ, 主任研究員 (30633515)
齋藤 庸賀 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部表面・化学技術グループ, 研究員 (90806001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海洋環境 / トライボロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋環境中で使用可能な耐食性を有し、かつトライボロジー特性(特に摩擦・摩耗・耐焼付性)に優れた摩擦材(以降、海水中用高強度摩擦材という)を、申請者らの研究グループが開発した摩擦改質技術と熱拡散処理を組み合わせて応用開発し実用化を図る基礎研究である。 本研究の目的を達成するために、本年度は強度が高く工業的に多用される合金鋼(主にSCM材)を対象に、耐食性を付与する研究を中心に実施した。 1.被覆層を有する材料の作製 高強度かつ工業的に多用されている材料としてクロムモリブデン鋼(SCM435)を基材として、この表面と工具の間に、主にチタン(Ti)系およびクロム(Cr)系の各種硬質微細粉末とキャリア粉末を混合したものを間断なく送りこみ、局所的高面圧下で摩擦する(摩擦改質処理)ことにより、基材表面に微細粉末による被覆層を創生した。その後、必要に応じて摩擦改質処理を施した材料に窒化処理を施した。この窒化処理を援用することにより摩擦改質により被覆された微細粉末を拡散接合させて基材との密着性を向上することならびに改質層の高強度化を試みた。 2.評価試験の実施 作製された試験片に対して、主として塩水噴霧、乾燥、湿潤、浸漬等を組み合わせた複合サイクル塩水噴霧試験を実施して、実際の海洋環境における耐食性を評価し、その効果を確認した。あわせて太陽光の紫外部および可視部の分光放射照度分布に極めて近似しているキセノンアークランプ式耐候性試験を実施して、実際の海洋環境における長期耐久性を評価し、その効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「5. 研究実績の概要」にて述べたように、合金鋼を対象に、各種硬質微細粉末による被覆層を創生し、得られた材料に対して主に複合サイクル塩水噴霧試験および耐候性試験を実施して、この材料の実用海洋環境下における耐食性と耐久性を評価し有益な結果が得られた。しかし上述した研究目的を達成するためには引き続き、摩擦摩耗試験を実施し、その摩擦・摩耗特性を解析評価して考察を深めることが必要であると考える。よって総合的に判断し「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するために、次年度以降も引き続き、合金鋼(SCM材)を対象に海水腐食の防止ならびに低摩擦と耐摩耗性向上を目的として微細硬質粉末による摩擦改質処理および熱処理等を実施する。得られた被覆層を有する材料に対して主に以下の①から③を実施し特性を明らかにする。 ①硬さ試験とスクラッチ試験により硬さと微細粉末の密着強度を調べ、摩擦改質効果を確認する。 ②表面および断面のEDX元素分析を行い、表面・表層に存在する微細粉末の分布状況(拡散浸透の有無)を調べ、摩擦改質効果を確認する。 ③交差円筒方式摩擦摩耗試験を無潤滑および海水中で行い摩擦・摩耗低減効果を調べる。 得られた評価結果をもとに本研究にて開発した表面改質方法の有効性を明確にするとともに、実用化に耐える海水中用高強度摩擦材を創出し実用化することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な原因は、主に硬質微細粉末を有効に利用できたことによりその購入金を抑えられたこと、ならびに得られた各種改質材の表面元素分析等に要する費用が当初計上していたものより安く抑えられたためである。加えて新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延の影響により出張に行くことができず、このため旅費を使用する機会が非常に少なかったことも要因である。次年度以降の助成金については、評価試験計測システムの高度化や学会等への参加に要する経費として活用させて頂き、研究を更に発展推進する予定である。
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