2022 Fiscal Year Research-status Report
カテコール蛍光誘導体化反応を利用したNADP+の直接測定法の開発
Project/Area Number |
20K05561
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴田 孝之 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (10448491)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | NADP+ / アドレナリン / カテコール酸化反応 / 蛍光誘導体化反応 / 生体試料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)の直接測定法の開発を目的としている。2022年度は、アドレナリンが酸化される際に、キノン体に変化されるだけでなく引き続き環化反応を起こすことを明らかにした。そこで2022年度は、アドレナリンの環化に必要な条件および環化される際の分光学的特性を評価した。 NADP+がアドレナリンを酸化することは既に確認しているため、より酸化の速い過ヨウ素酸を用いて実験を行った。まず、反応に及ぼす緩衝液の種類の影響を調べた。その結果、ホウ酸緩衝液中で反応を行った場合のみ蛍光性の生成物を生じることが判明した。一方、リン酸やトリスヒドロキシメチルアミノメタンの様な一般的な緩衝液中では蛍光体は生成しなかった。また、pH 8.0付近では効率よく蛍光が得られたのに対し、pH 7.0や9.0では蛍光は著しく減少することが判明した。本反応は反応温度にも敏感であり、室温(20℃)ではほとんど反応は進行せず、37℃では最大の蛍光強度が得られた。しかし、温度を上昇させると得られる蛍光は減弱し、60℃程度の加温で蛍光は全く発しなくなった。 この様に、非常に厳密な反応条件のコントロールが必要なものの、ホウ酸緩衝液を使用し37℃で反応させることで、アドレナリン特異的な環化を起こすことができ、しかもその生成物が青色蛍光を発することを見出した。この事実は、アドレナリンの酸化的閉環反応をNADP+で起こすことができれば、NADP+依存的な蛍光検出が可能になることを意味するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度開始時に研究室員に新型コロナウィルス感染者および濃厚接触者が連続して発生したため、一時期研究の遂行ができなくなった。しかし、NADP+に依存した蛍光シグナルをアドレナリンから得ることには成功しているため、研究期間を延長するものの順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
NADP+によってアドレナリン特異的な蛍光が得られる条件を探索することが2023年度の目標である。そのため、緩衝液の濃度やpH、反応温度、反応時間、添加物の種類等を詳細に検討し、最終的に生体試料に含まれるNADP+を定量できる技術に展開する。
|
Causes of Carryover |
研究室内で新型コロナウィルス感染者および濃厚接触者が連続して発生し、一時期研究を行うことが不可能になったため、研究計画の一部しか遂行できなかった。一方、アドレナリンの酸化を蛍光シグナルとして検出することには成功しているため、2023年度は、アドレナリンの酸化的閉環反応をNADP+で発生させる実験に次年度使用額を充てる。
|
Research Products
(4 results)