2020 Fiscal Year Research-status Report
放射線グラフト重合による多機能型芳香族炭化水素高分子の開発
Project/Area Number |
20K05625
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 伸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60354940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣木 章博 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (10370462)
前川 康成 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所, 副所長(定常) (30354939)
澤田 真一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (70414571)
奥島 駿 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 研究員(任常) (80805672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線グラフト重合 / 芳香族炭化水素高分子 / 結晶化度 / ラメラ周期構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、耐熱性及び機械特性に優れた芳香族炭化水素高分子へ、イオン伝導性等の機能をグラフト重合により付与した多機能型芳香族炭化水素高分子の創出と、反応機構に関する因子の解明を目的とする。今年度は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜へのスチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)の放射線グラフト重合について検討した。PEEK膜へのETSSグラフト重合では、熱アニーリングによって制御できる結晶化度とラメラ形成がその重合速度と到達グラフト率に重要であり、ラメラ形成しない結晶化度11~25%の膜はグラフト重合性を示すのに対し、30%以上では殆ど重合しないことを既に報告した。一方、50℃のDVB(DOXの50重量%溶液)で18時間処理した低結晶性PEEK膜(l-PEEK、市販品、結晶化度11%)では、24時間でのグラフト率が、l-PEEK(前処理なし) 45%に対し、190%に向上した。 今回、溶媒前処理効果を調べるため、DOXのみで同様に前処理したPEEK膜について、同条件でのETSSグラフト重合は、24時間でグラフト率190%とほぼ同様の重合促進効果を示したことから、溶媒アニーリングによる基材の構造変化が重合促進に重要であることが明らかとなった。そこで、溶媒処理したPEEK膜の結晶化度と小角X線散乱(SAXS)を測定し比較検討した。 溶媒処理膜の結晶化度は20-22%と、熱処理によるグラフト重合性を示した結晶化度の範囲であった。SAXS測定より、ラメラ周期構造に相当する相関長9.5 nmのピークが出現した。これは、熱処理で現れる相間長14nmの半分程度であり、散乱強度も低いことから、周期性の弱い新たなラメラ相の形成を示唆している。すなわち、溶媒アニール処理によるl-PEEKの結晶化度20%程度で、周期性が低く、短いラメラ構造が、グラフト重合に有利であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、グラフト重合反応が殆ど進行しない芳香族炭化水素高分子であるポリエーテルエーテルケトンにおいて、グラフト重合反応の加速効果に対する結晶化度とラメラ周期構造の関係が新たに見いだせた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエーテルエーテルケトンへのグラフト重合反応における加速効果について、その反応機構を詳細に検討すると共に、ポリスチレンスルフィド等、その他の芳香族炭化水素高分子についての放射線グラフト重合反応と反応機構についての解明を検討する。
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Causes of Carryover |
理由:当初予定していた実験の一部が実行できなかったことから、溶媒等の合成試料の購入が少なくなった。また、研究に関する打ち合わせおよび外部発表が少なくなったことから、次年度使用額が生じた。 使用計画:合成用モノマー、溶媒の他、ガラス器具などの消耗品を購入する。また、旅費や論文投稿費等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)