2023 Fiscal Year Annual Research Report
三次元立体・多孔質構造を有するカルコゲナイド系水素発生電極の創製と活性点解明
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20K05698
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
北沢 信章 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (60272697)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水熱合成法 / ナノワイヤー集合体 / 酸化コバルト / 酸化ニッケル / 水分解電極 / 硫化処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは、多孔質金属メッシュを反応場とした水熱合成プロセスによってナノ板状構造およびナノ針状構造を有するニッケルおよびコバルト水酸化物の合成し、熱処理により得られた酸化コバルト系ナノワイヤー集合体の電気化学的特性について検討した。格子酸素に対する表面吸着酸素の比が大きい試料ほど酸素発生過電圧が低下し、表面に酸素(水溶液中では水分子や水酸化物イオン)が吸着しやすいサイトが水分解活性点として作用していることを明らかにした。また、これまでに合成された試料群を硫化ナトリウム水溶液に浸漬したところ、アニオン交換反応により金属-硫黄結合が形成されているものの、目的物質である硫化物ナノワイヤー集合体の合成には至らなかった。 最終年度では、目的物質である硫化物ナノワイヤー集合体の合成には至らなかったため、ニッケルおよびコバルト酸化物ナノワイヤー集合体に対する硫化処理が電気化学的特性に与える影響について検討した。ニッケルメッシュ表面を予め酸化させることにより、熱処理をすることなく、水熱合成法によってニッケル酸化物およびコバルト酸化物ナノワイヤー集合体を成長させることに成功した。また、これらの試料を各種硫化剤(チオ尿素、チオアセトアミド、硫化ナトリウム)の水溶液に浸漬させ、反応温度や反応時間を変化させて硫化処理を行った。水の電気分解特性に与える硫化処理の影響について検討した結果、(1)硫化処理を行わない試料群は、水素および酸素発生電極として機能する、(2)硫化処理を行った試料群は、水素発生電極としては機能するが、酸素発生反応は生じなくなる、(3)硫化処理によって水素発生過電圧は増加する、ことが明らかとなった。これは、硫化処理によってナノワイヤー表面の結晶性が低下、あるいはナノワイヤー表面近傍層が硫化されたために水分解触媒サイトが不活性化したものと推察された。
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