2023 Fiscal Year Research-status Report
新規天然蛍光イメージリング剤の創出と生細胞内動的解析
Project/Area Number |
20K05736
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大崎 愛弓 日本大学, 文理学部, 教授 (50161360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 愛保 徳島文理大学, 薬学部, 客員教授 (70208990)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 植物成分 / 蛍光化合物 / 蛍光特性 / 細胞導入 / 蛍光イメージリング |
Outline of Annual Research Achievements |
多環アルカロイドの蛍光を調べる目的で,独自に構築した天然エキスライブラリ2000種について,蛍光スクリーニングを行った。その結果,いくつかの検体が強い蛍光を有することが明らかとなった。その一つである生薬,ゴシュユ(呉茱萸,Tetradiun ruticarpum,ミカン科)は,健胃鎮痛利尿作用があるとして,果実を用いている。ゴシュユの果実 505gを,粉砕し,メタノールにて抽出し,シリカゲルクロマトグラフィー(Wako gel C-300)を行い分画したのち,強い発色を持つ分画部に対して,逆相HPLC(Cosmosil 5C18MS-II,Cosmosil PBr, Chromatorex NH)を用いて,蛍光化合物の精製を行った。その結果6種の化合物を単離し,各々のNMRデータから,rutaecarpine (1), evodiamine (2), hydroxyrutaecarpine (3), 5-methoxy-10-hydroxy-dimethyltryptamine (4), dehydrorutaecarpine (5), goshuyuamide II (6),であると同定した。これらの化合物に対して4種の溶媒(CHCl3,CH3CN,MeOH,H2O)における溶媒特性について検討をおこなった。Evodiamine誘導体としての骨格に注目すると,C-14とC-14aで形成するIndol unitとQuinazilinone unitの共役系の存在が,蛍光強度に影響していることが分かった。単離収量の多い化合物1を用いて,HeLa細胞への染色を行った結果,生細胞への導入は,その毒性からかうまくいかなかったが,エタノール固定を行うことにより,うまく細胞染色を行うことができ,その染色は鮮明である,細胞全体に認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究において,N含有多環アルカロイドおよびNを含有していない天然蛍光物質の両方から,広く植物成分の蛍光成分について研究を行ってきた。これらの蛍光化合物をライブラリ化し,今後の研究に資する形でまとめることが出来ている。しかしながら,広範な研究を行ったこともあり,それらのデータ整理と,学会発表,投稿論文の作成に遅れが生じているので,それらのデータをまとめるために次年度に持ち越すこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに100種以上の天然蛍光物質を得て,それらの構造を確定してきた。 得られた天然蛍光化合物を整理し,天然蛍光化合物の独自のライブラリとして保存するとともに,それらのスペクトルデータを整理する。 これまでの実験結果をもとに化合物の蛍光特性を整理し,細胞内での挙動を明らかとし,まとめる作業を行う。 天然蛍光を持つ植物ごとに国内外での学会発表を行う。さらに論文の投稿を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
これまで多くの天然蛍光化合物を得てきたが,それらのデータの確認作業と,独自の蛍光ライブラリの構築,および国内外の学会発表と論文作成のため,残金を次年度に延長し,使用することとした。年度内にデータの確認とまとめを行う予定であったが,間に合わなかったため。
|