2021 Fiscal Year Research-status Report
膜透過ペプチドの受容体をエントランスとしたターゲティングデリバリー
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20K05744
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 明子 (田所明子) 新潟大学, 医歯学系, 講師 (60454584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膜透過ペプチド / ドラッグデリバリーシステム / サイトゾル / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
膜透過ペプチドPas2r12は、ヒト胎児腎臓由来の培養細胞(HEK293)においてEGFP(緑色蛍光タンパク質)や抗体(IgG)をサイトゾルへと導入することができる。これらの分子のサイトゾルへの導入は、カベオラ依存性エンドサイトーシスが主な経路であることがわかっている。一方、Caveolin-1はカベオラを構成する重要なタンパク質であり、このタンパクの発現量が多いほど細胞膜上のカベオラの数は多くなることが知られている。Pas2r12によるEGFPのサイトゾル導入メカニズムを解明する為に、カベオラ主要構成因子であるCaveolin-1の過剰発現による影響を調べた。Caveolin-1遺伝子を担うプラスミドDNAを用いて、Caveolin-1過剰発現株3株(Cav38、Cav44、Cav53)を作製した。細胞内蛍光分子の比較定量にはフローサイトメーターを用い、細胞内蛍光分子の観察には共焦点レーザー顕微鏡を用いた。Pas2r12による細胞内へのEGFP導入量は、HEK293と比べてCaveolin-1過剰発現3株全てにおいて顕著に増加していた。一方、Pas2r12によるEGFPのサイトゾル導入率は、HEK293に比べてCav38とCav 53では増加し、Cav44では顕著に低下していた。以上の結果から細胞内へと取り込まれるEGFP量は、Caveolin-1過剰発現により促進されることが示された。しかし、EGFPのサイトゾル導入においては、Caveolin-1過剰発現株によって違いがみられたことから、Caveolin-1量だけではなくCaveolin-1のリン酸化や細胞内シグナル伝達の違いなど、より詳細な検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pas2r12の特異的受容体の同定までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでに得られたデータをもとに、特異的受容体の検索を行い、より効果的なサイトゾル導入方法の開発につなげることができるよう計画を遂行する。Pas2r12の受容体候補遺伝子について、ノックダウンや受容体候補タンパク質との相互作用を調べ、受容体の同定を行う。次に、受容体量とサイトゾル移行型膜透過ペプチドによるタンパク質のサイトゾル導入の関係について調べる。受容体過剰発現株における抗体デリバリーの検証と受容体過剰発現型腫瘍モデルマウスへの抗体デリバリー効果の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
試薬が、海外のロックダウンの影響を受けて年度内に納入されなかった為。
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Research Products
(2 results)