2022 Fiscal Year Annual Research Report
膜透過ペプチドの受容体をエントランスとしたターゲティングデリバリー
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20K05744
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 明子 (田所明子) 新潟大学, 医歯学系, 講師 (60454584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膜透過ペプチド / IgG / IGF1R / INSR / EGFP / ERK1/2 |
Outline of Annual Research Achievements |
改変型膜透過ペプチド(Pas2r12)は、Enhanced green fluorescent protein (EGFP)やImmunoglobulin G を主にカベオラ依存性エンドサイトーシスを介して、HEK293細胞のサイトゾルへと導入することができる。Mitogen-Activated Protein Kinase(MAPK)経路は、増殖、分化、アポトーシスおよびストレス応答を含む多種多様な細胞プロセスを調節する重要なシグナル伝達経路である。Pas2r12と「ERK1/2シグナル伝達経路」との関係を調べることを目的とした。 Pas2r12によるERK1/2のリン酸化に対して、MEK1/2のATP非競合的な阻害剤であるU0126の効果について調べた。その結果、Pas2r12によるERK1/2のリン酸化は、U0126の存在下で顕著に阻害された。一方、MEK1/2のリン酸化状態について注目したところ、Pas2r12を加えることでMEK1/2がリン酸化されていることが分かった。また、U0126の存在下では、Pas2r12によるMEK1/2のリン酸化がより増強されていることが分かった。これらの結果から、Pas2r12はMEK1/2のリン酸化を行い、活性化されたMEK1/2がERK1/2のリン酸化を行うことが示された。 次に、U0126とPas2r12によるEGFPのサイトゾル導入率との関係について調べた。U0126の存在下で、細胞にPas2r12とEGFPの複合体を加え、EGFPのサイトゾル導入率について調べた。コントロールに対してDMSOおよびU0126は、いずれも有意な差は示さなかった。これらの結果から、U0126 によりMEK1/2を阻害してERK1/2のリン酸化を抑制しても、Pas2r12によるEGFPのサイトゾル導入率に対して影響は見られないことが分かった。ERK1/2は、細胞外シグナルを受けてリン酸化され、核へと移行して細胞増殖や生存に必要な遺伝子の発現を調節する。よって、このようなERK1/2の機能は、Pas2r12によるEGFPのサイトゾル導入においては関係していないことが示された。
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Research Products
(1 results)