Outline of Annual Research Achievements |
食品や食品由来成分は、膵癌予防にとって極めて有望な候補であるが、腫瘍微小環境を標的とした研究はほとんど進んでいない。本研究では、強力な抗癌作用を有するカロテノイドの一つFucoxanthin (Fx)による腫瘍微小環境形成抑制効果が膵臓で見られるか明らかにすることを目指した。マウス及びハムスターの同種同所移植膵癌モデルは、天然物や薬剤の抗がん作用を調べる上で適したモデルである。そこで、分担研究者より、マウス及びハムスターの膵癌組織より樹立した複数の膵癌細胞をご供与いただき、同種同所移植膵癌モデルを作製し、Fxの効果を調べた。
マウス膵癌KMPC44細胞を同種の膵臓組織へ接種して同種同所移植膵がんモデルマウスを作製し、Fxを細胞接種前から合わせて3週間の経口投与を行った。その結果、Fxの投与は、本モデルの膵臓腫瘍増大抑制作用及び分化誘導作用を引き起こした。また、その作用機序を詳細に調べた結果、本モデルにおけるFxの投与は、CCL21/CCR7 axis、BTLA、腫瘍微小環境、上皮間葉転換等の抑制を介して膵癌予防効果がもたらされたことが強く示唆された(Murase et al., International Journal of Molecular Sciences, 22, 13620, 2021)。この知見は、今後、膵癌モデル動物に対するFxの効果を明らかにする上の基礎資料となる。現在は、他の膵がんモデルに対するFxの効果の検討を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、2020年度にfucoxanthinol添加によって明瞭なapoptosis誘導効果を示したマウス膵癌KMPC44細胞を用いて、同種同所移植膵がんモデルマウスを作製し、Fxのがん予防効果を調べた。その結果、本モデルにおけるFxの投与は、CCL21/CCR7 axis、BTLA、腫瘍微小環境、上皮間葉転換等のNetworkの抑制を介して膵がん予防効果が引き起こされたことが強く示唆された(Murase et al., International Journal of Molecular Sciences, 22, 13620, 2021)。また、Fxによる膵がん予防の比較研究として、大腸発がんモデルにおけるFx投与によるがん予防Network機序の解明(Terasaki et al., The Journal of Nutritional Biochemistry 36(2), 628-634, 2022)、及びFxによる大腸がん予防のReviewを報告した(Terasaki et al., Cancers, 13(10), 2379, 2021)。
その他、Kubota et al., Pharmacology 107(1-2), 28-34, 2022; Yokoyama et al., In Vivo 35(6), 3165-3173, 2021; Takeda et al., Drug Metabolism and Pharmacokinetics 49, 100411, 2021; Kitagawa et al., In Vivo 35(5), 2947-2949, 2021; Sakuragi et al., Science of The Total Environment 800, 149374, 2021を共著で発表した。
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