2021 Fiscal Year Research-status Report
エンドトキシンの無毒化を意図したアルカリホスファターゼの誘導とその作用機序の解析
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20K05936
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
日野 真吾 静岡大学, 農学部, 准教授 (70547025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルカリホスファターゼ / 腸内細菌 / エンドトキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
IAPは,脂質の吸収や重炭酸塩の分泌および十二指腸表面のpH調節等の機能に加え, 近年では腸管lipopolysaccharides (LPS) の脱リン酸化作用を介した代謝疾患改善効果が注目されている。全粒粉にはIAPの基質であるLPSおよびフィチン酸が比較的高濃度で含まれることが知られている。本年度はこれらの成分を介して,全粒粉の摂取が小腸IAP活性を誘導しうるか評価を行った。AIN-76組成に準じた飼料を対照飼料 (CS, corn starch群)とした。また, 対照飼料中のコーンスターチとの置き換えで小麦全粒粉 (WF群), 発芽玄米粉 (RF群) を60%, 大麦全粒粉 (BF群) を30%添加した飼料を設けた (大麦全粒粉は高濃度の-グルカンが含まれているため飼料摂取量の極端な低下が生じない添加量にとどめた)。なお, 被験素材の化学分析の結果をもとに食物繊維, タンパク質, 脂質の含量をそれぞれセルロース, カゼイン, コーンオイルの添加量を調節することで各飼料の栄養成分含量を可及的に一致させた。空腸部では対照との二群比較を行った場合, 最も高濃度のLPSを含む発芽玄米粉を添加したRF群では対照に比べ43%程度、IAP活性は有意な上昇が認められた。また, この結果は誘導型のIap-ⅡのmRNA発現量にも反映されており, RF群では対照に比べ50%程度の発現上昇が認められた。しかし, 血清中IAP活性およびLPSを基質として用いた場合の小腸粘膜IAP活性はいすれの群間にも差はなかった。したがって,発芽玄米粉摂取時には腸管IAP活性が誘導されるものの, 血中IAP活性の亢進や生理的条件下におけるLPSの脱リン酸化を介した無毒化促進といった, 生理的意味を持つには至らないことがわかった。一方で,全粒粉の摂取は糞便中のアルカリフォスファターゼ活性を4倍程度増加させた。この増加は,小腸での増加に比べ程度が大きいため,腸内細菌に由来する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では,種々の慢性疾患の背景にあることが示唆されているmetabolic endotoxemiaを予防する可能性がある腸管型アルカリホスファターゼ (IAP)食事により誘導し,メタボリックシンドロームの発症・増悪阻止することを目指している。しかしながら,発芽玄米粉摂取時には腸管IAP活性が誘導されるものの, 血中IAP活性の亢進や生理的条件下におけるLPSの脱リン酸化を介した無毒化促進といった, 生理的意味を持つには至らないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
IAPの基質となるフィチン酸やLPSを含む発芽玄米粉摂取時には腸管IAP活性が誘導されるが, 生理的意味を持つには至らないことがわかった。一方で,糞便中のIAP活性は4倍程度にまで増加することが明らかとなった。宿主と腸内細菌との共生関係において腸内細菌自身のIAPが宿主をむやみに刺激しないために,細菌毒素であるLPSを自身で無毒化しているという仮説を新たに立て,糞便アルカリフォスファターゼ活性の上昇に腸内細菌叢が関与する可能性と腸管から分泌されたものが活性を保ったまま,濃縮されているのかを明らかにする。
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Research Products
(2 results)