2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of salt consumption by the scent of food and spice
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20K05945
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長田 和実 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00382490)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 匂いによる適塩作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までの研究で,実験環境内の気相中香気濃度を調節し,匂い刺激に対する再現性の高いマウスの評価系を創出した.香辛料や塩味食品の匂いによる適塩作用に明確な差があり,顕著な減塩活性が見られたものの一つがオレガノである.オレガノの匂いはマウスに対して減塩効果が強く,用量依存的であり,Carvacrol が活性成分の一つであった.2022年度の研究ではCarvacrolの刺激がもたらす減塩効果の感覚伝達経路を明らかにするために,2.5 % ZnSO4をマウスの両鼻嗅内に5μLずつ点鼻し嗅覚系の関与を確認した.点鼻による嗅覚機能の変化はピーナツバターの配合餌に対する嗜好実験で確かめ,点鼻処理により配合餌の探索時間が5倍に延長し,嗅覚が有意(P=0.001;t-test)に低下したことを確かめた.翌日からNa+嗜好実験を開始した.その結果,嗅覚機能が低下していても減塩効果は依然として発揮される(P=0.002;Wilcoxon test)ことが明らかになり,嗅覚以外の感覚系が適塩効果に関与していることが示唆された.マウス脳内のNa+ 欲求に関連する中枢を免疫組織化学的手法により評価した.C57BL/6Jマウスにオレガノ1gを24時間暴露後,脳を採取し,還流処理後,脳スライスを作製した.アビジン-ビオチンペルオキダーゼ複合体で染色し,分界条床核腹側核外側部および腹側核内側部 (STV),外側核後方部,外側核背側部,内側核前方部,傍分界条床核,視床下部中郭核などのFos陽性細胞密度を計測した.その結果,オレガノの香気暴露によってSTV特異的なFos陽性細胞密度の増加(P<0.01;t-test)を確認した.STVにはアンジオテンシンⅡ1a受容体を持つ神経が存在し,オレガノの香気は食塩摂取調節中枢であるSTVを介して適塩効果を発揮していることが神経生理学的見地より強く示唆された.
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Research Products
(7 results)