2021 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチンシグナルによる膜交通制御を介した植物の病原体抵抗性強化機構
Project/Area Number |
20K05949
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 長緒 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50609724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチンシグナル / 膜交通 / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,植物の病原体ストレス抵抗性に着目し,その優れた環境適応能力を支える細胞内膜交通系の分子実態と制御機構について明らかにする。膜交通系は,細胞膜上の環境シグナル受容体・伝達因子や輸送体の機能制御に重要な役割を果たす。病原体抵抗性においては,細胞壁の強化が重要であり,膜交通系はその一翼を担っている。本研究では特に,膜局在型ユビキチンリガーゼによる膜交通因子の機能制御に注目,ユビキチンシグナルの果たす役割について,新たな視点で解析を実施する。主に,下記3研究課題に関する詳細な解析を効率的に実施する。 1.病原体ストレスに応じたユビキチンリガーゼ活性の変動制御機構の解析 2. 細胞壁成分の輸送に関わる構成因子と積荷の解析 3. 鍵因子機能改変株を用いた病原体抵抗性解析 当該年度は,TGN/EE局在型SNARE因子と膜局在型ユビキチンリガーゼATL31の関係性について解析を行った。その結果,TGN/EE局在型SNARE因子と膜局在型ユビキチンリガーゼATL31が相互作用していること,TGN/EE局在型SNARE因子がATL31の細胞内局在制御に重要な役割を果たすことを見出した。また,遺伝学的な解析も行い,TGN/EE局在型SNARE因子がATL31の機能発現に重要であることが示唆された。これまでの研究から,TGN/EE局在型SNARE因子のユビキチン化部位等の情報が得られていることから,このユビキチン化候補部位に変異を導入した変異型SNARE因子を発現する植物の作出を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を構成する各実験課題に関して,当初予定していた進捗が見られた。 特に,TGN/EE局在型SNARE因子と膜局在型ユビキチンリガーゼATL31の関係性についての解析が進んだことで,重要な情報が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた,TGN/EE局在型SNARE因子のユビキチン化修飾の生化学的および生理学的機能について,さらなる研究を行う。現在作成中のユビキチン化候補部位に変異を導入した変異型SNARE因子を発現する植物株を用いた解析やin vitroでのタンパク質機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で植物サンプルの調製等に影響が生じたため、次年度へ繰り越した。既に実験は再開しており、次年度4月以降の解析に合わせて試薬購入等で使用する。
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