2022 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチンシグナルによる膜交通制御を介した植物の病原体抵抗性強化機構
Project/Area Number |
20K05949
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 長緒 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50609724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユビキチンシグナル / 膜交通 / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,植物の病原体ストレス抵抗性に着目し,その優れた環境適応能力を支える細胞内膜交通系の分子実態と制御機構について明らかにする。膜交通系は,細胞膜上の環境シグナル受容体・伝達因子や輸送体の機能制御に重要な役割を果たす。病原体抵抗性においては,細胞壁の強化が重要であり,膜交通系はその一翼を担っている。本研究では特に,膜局在型ユビキチンリガーゼによる膜交通因子の機能制御に注目,ユビキチンシグナルの果たす役割について,新たな視点で解析を実施する。主に,下記3研究課題に関する詳細な解析を効率的に実施する。 1.病原体ストレスに応じたユビキチンリガーゼ活性の変動制御機構の解析 2. 細胞壁成分の輸送に関わる構成因子と積荷の解析 3. 鍵因子機能改変株を用いた病原体抵抗性解析 当該年度は,TGN/EEに局在する膜交通制御因子のユビキチン化について,環境ストレスに応じたユビキチン鎖形成やその変動について解析を行い,結果を得た。また,昨年度作出に取組んだ,ユビキチン化部位変異型SNARE発現株について,形質転換ラインの確立を行い,遺伝子発現量の確認を行った。この形質転換株を用いて,ユビキチン化部位変異型SNAREの細胞内局在性を観察した。また,ユビキチン化部位変異型SNARE発現株の表現型やストレス応答性の解析を行った。また,ユビキチンリガーゼATL31およびTGN-EE局在型SNAREの変異株における細胞壁成分の蓄積量について解析を行い,それぞれ野生型と異なるパターンとなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度行う予定であったプロテオミクス解析について、一部試薬の入手が困難となり、計画の見直しが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた,TGN/EE局在型SNARE因子のユビキチン化修飾の生化学的および生理学的機能について,さらなる研究を行う。実施時期を変更したプロテオミクス解析を中心に行い,ユビキチン化シグナルによる細胞壁強化機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で実験サンプルの調製等に影響が生じたため、次年度へ研究課題を延長した。既に実験は再開しており、次年度4月以降の解析に合わせて試薬購入等で使用する。
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