2022 Fiscal Year Research-status Report
自家和合性を獲得した四倍体ロコトトウガラシの自家受粉における着果不良の要因解明
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20K06017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮島 郁夫 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (20182024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水ノ江 雄輝 九州大学, 農学研究院, 助教 (50759206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 四倍体 / ロコトトウガラシ / 自家和合性 / 果実着色 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,世界で広く栽培されているC. annuum品種群やC. frutescens品種群などのトウガラシ類のうち,ロコトトウガラシ(C. pubescens)のみが自家不和合性を示すが,コルヒチン処理により得られた四倍体は自家和合性を示すことが確認された.これまで我々が育成した四倍体ロコトトウガラシは赤色果実2系統と黄色果実1系統で,いずれも果実重は20g前後,果肉の辛みは強いものの水分が多く,今後,さまざまな利用が期待される.ロコトトウガラシは受粉から果皮着色が完了する果実の収穫期まで80~90日を必要とする.カラーピーマンでは,開花から収穫まで65日以上必要であるため,果実の着色開始期に収穫し,光照射により着色を促進する技術が開発されている.ロコトトウガラシにおいても,着色前の緑色果実を収穫し,人為的に果実の着色を促進できれば株の着果負担が軽減され,その結果,収量の増加が期待できる.今回は早期に収穫した緑色果実の着色に対する温度と光照射の効果について調査した. 四倍体ロコトトウガラシの果実は受粉後25日目頃までは急激に肥大するが,その後の肥大はゆるやかとなり,約50日後には肥大が停止した.通常の栽培では,果実の着色は果実肥大の停止後,約1か月後に始まるが,果実肥大が停止した緑色果実を収穫して着色促進処理を行ったところ,明および暗条件のどちらとも処理開始から10日後には着色が始まり,15日後には鮮やかな赤色となった.なお,温度区間での有意な差は認められなかった.着色促進処理後のロコトトウガラシ果実の硬度を測定したところ,通常栽培で収穫した完熟果実との間に有意な差は認められなかった. 以上のことから,早期に収穫したロコトトウガラシの緑色果実に対して,明暗どちらの条件においても,また,20~30℃のいずれの温度条件下でも着色促進の効果があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,研究開始当初の目的であった四倍体ロコトトウガラシの自家受粉における着果不良の要因解明よりも,四倍体ロコトトウガラシの実用化に向けての試験研究として収穫後の着果促進処理に関する研究を行い,期待以上の成果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるので自家受粉で結果する優良な四倍体ロコトトウガラシ系統の選抜に努める.特に,露地栽培を行い実用品種となりうる系統を選抜する予定である.
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Causes of Carryover |
本事業が始まった令和2年度から2年間は新型コロナ感染症の影響により学会が開催されず学会参加のための旅費を使用することができなかった.そこで,研究期間を1年間延長し研究を継続するとともに,得られた成果を学会等で発表する予定である.
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Research Products
(1 results)