2020 Fiscal Year Research-status Report
配糖化プロセスの特性に着目したマンゴー果実の香り貯蔵機構の把握
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20K06019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡田 貴裕 佐賀大学, 医学部, 助教 (30584809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マンゴー / 香気成分 / 配糖体 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が産生する種々の香気成分は生体防御や情報伝達といった多彩な生命機能に利用されるが、揮発性が高いために細胞から失われやすく、膜損傷を引き起こしやすいというデメリットを持つ。このため、植物はUDP-糖転移酵素(UGT)を利用して香気成分を配糖体化し、安定的に液胞内に貯蔵する仕組みを進化させてきた。本課題ではアーウィン種マンゴーを対象とし、果実におけるUGTファミリーの発現特性、および香り貯蔵の仕組みを解明することを目指す。 アーウィン種マンゴーはゲノム情報が完全には解読されておらず、UGTファミリーに関する情報が限定されている。そこで、令和2年度はUGTファミリー遺伝子の同定に着手し、UGT候補遺伝子群のcDNAを取得した。さらに、これらにコードされるタンパク質の異種発現系を構築した。また、令和3年度以降に実施する研究のために、果皮および果肉組織のサンプリングを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりにUGT候補遺伝子のcDNAを取得し、異種発現系の構築を完了している。また、研究サンプルの確保についても滞りなく実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回取得したUGT候補遺伝子にコードされるタンパク質について香気成分(テルペン類や芳香族化合物)に対する糖転移活性を検討し、マンゴー果実の香り貯蔵に関わる責任遺伝子を決定する。また、それらの発現特性や果皮・果肉に貯蔵されている香気配糖体の組成を調査し、果実の香り貯蔵の生化学基盤を考察する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の流行により往来が制限されたため、学会出張やサンプル採取に要する旅費の支出がなかった。また、例年に比べて果実サンプルの生育がやや遅れており、これにあわせて使用期限が短い消耗品を購入する必要が生じた。本年度の未使用額は次年度以降の出張費および遺伝子解析用消耗品類の購入に充て、研究計画の遂行に活用する。
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