2021 Fiscal Year Research-status Report
マルバカイドウにおけるリンゴ高接病発症メカニズムの解明
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20K06039
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森谷 茂樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主任研究員 (90391474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北本 尚子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70447241)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 果樹 / リンゴ / 病害抵抗性 / ウイルス病 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Cv2のファインマッピング 昨年度に表現型を予備診断したファインマッピング用の植物材料について、確定診断を行い、表現型を免疫性(cv2cv2)11個体、感受性(Cv2cv2)16個体と確定した。ゲノム情報を利用して開発したSSRマーカーでファインマッピングを行ったところ、Cv2はMdo.chr14.12とMdo.chr14.14との間の領域に座乗していることが推定された。これら2つのDNAマーカー間の物理距離は、リンゴ「ゴールデンデリシャス」では、約94kbであった。 2.Cv2候補領域の塩基配列の決定 Cv2候補領域の塩基配列を解読するため、BACライブラリーから当該領域を含むクローンのスクリーニングを行った。その結果、免疫性(cv2)側染色体では全候補領域を包含する1個のクローンが得られたが、感受性(Cv2)側では全候補領域を包含する単一のクローンは得ることができなかったため、複数のクローンで構成されるBACコンティグを構築する必要があった。そこで、新たに設計したin/delマーカーやクローン末端配列を利用してスクリーニングを継続した結果、感受性(Cv2)側の全候補領域を包含する9個のクローンで構成されるBACコンティグを構築した。候補領域の両端に位置するクローンの塩基配列を超ロングロード型次世代シーケンサーによって解読したところ、互いに相同性の高い塩基配列が20kb以上に渡って認められたため、感受性(Cv2)側染色体では染色体の重複が起きている可能性が示唆された。 3.Cv2候補遺伝子の同定 遺伝子発現解析に用いるため保存しているサンプルからmRNAを抽出し、逆転写を行ってcDNAを合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原因遺伝子Cv2をファインマッピングすることによって、候補領域を100kb以内に絞り込むことができた。 BACライブラリーを利用して原因遺伝子座乗領域を含むクローンを感受性側、免疫性側の両者を単離できた。感受性側染色体では相同性の高い塩基配列が認められ、染色体の重複を示唆する結果が得られたが、BACコンティグを構成するクローンの塩基配列を解読することによって、コンティグの全塩基配列を明らかにすることは可能であると考えられる。 また、RNAの抽出およびcDNAの合成が完了し、遺伝子発現解析を行う準備は整いつつある。 以上のように、今年度の計画については染色体の重複という想定外の事象が認められたものの、問題点を解決することは可能であると考えられるため、研究の進捗はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCv2側のBACコンティグを構成するクローン、およびcv2側のクローンの塩基配列を解読し、候補領域内にどのような遺伝子が座乗しているか明らかにする。 予測された遺伝子についてはそのアノテーションなどから、詳細に解析する候補遺伝子を同定し、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う出張の制限等に伴い、旅費の使用がなかった。令和4年度に研究を推進するため、材料の維持管理および分子生物学実験に必要な試薬・器具類の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)