2020 Fiscal Year Research-status Report
ニホンジカとその個体数管理が森林限界・樹木限界に及ぼす影響の解明
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20K06136
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Research Institution | Yamanashi Forest Research Institute |
Principal Investigator |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 主幹研究員 (50359254)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニホンジカ / 摂食 / 剥皮 / 高山帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンジカの高山帯への進出は、その摂食により森林限界や樹木限界のような自然生態系の成立過程に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、ニホンジカの個体数管理は、ニホンジカの行動を変化させその分布域をより奥地化させる可能性がある。そこで、ニホンジカとその個体数管理が森林限界・樹木限界に及ぼす影響を評価する。 これまでの低標高で実施されてきた捕獲が強度である八ヶ岳山域、弱度である南アルプス山域と奥秩父山域で調査を実施する。この3山域の高標高域にセンサーカメラを設置し、ニホンジカの個体数を推定する。また、高標高域での摂食、剥皮を把握し、森林限界・樹木限界に及ぼす影響を解明する。 2020年度は、新型コロナウィルス感染症対策により多くの山小屋が営業を休止したため、予定していた多くの調査を実施することができなかったが、八ヶ岳山域において、亜高山帯を中心に調査区を設定した。亜高山帯針葉樹林の樹木への剥皮状態を明らかにするため、10×40mの調査区を14箇所設置し、調査区内の胸高直径3cm以上の生立木・枯立木を対象に毎木調査を実施し、生立木の中でニホンジカによる剥皮を受けているかを記録した。各調査区の剥皮率は、生立木数に対する剥皮本数の割合で求めた。各調査区に、センサーカメラを設置した。 八ヶ岳山域での標高と剥皮率の関係は明瞭ではなく、剥皮率が35%を越えた調査区は、2200mと2500mで見られた。八ヶ岳山系において、より標高の低い落葉広葉樹林帯で実施した調査の結果では、最低で6.3%、最高で87.5%(平均39.5%)であったことが報告されている(Iijima and Nagaike 2017)。今回の亜高山帯針葉樹林での結果(平均19.7%)は、落葉広葉樹林よりは剥皮率が低い結果であったが、 県内の他の亜高山帯針葉樹林と比べると、奥秩父山系に次いで剥皮率が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症対策により多くの山小屋が営業を休止したため、予定していた多くの調査を実施することができなかった
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は山小屋の営業も再開される予定のため、2020年度の遅延を回復できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症対策により多くの山小屋が営業を休止したため、予定していた多くの調査を実施することができなかった。また、参加を予定していた国際学会が中止となったため、旅費も執行しなかった。2021年度以降は山小屋の営業も再開されるため、2020年度分の調査も実施する予定である。
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Research Products
(2 results)