2022 Fiscal Year Research-status Report
本邦温帯域におけるハダカイワシ類の音響生物量推定法の開発と時空間的分布変動の解明
Project/Area Number |
20K06200
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安間 洋樹 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (50517331)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 暢夫 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (50186326)
前川 和義 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80250504)
高橋 勇樹 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (00761701)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 音響計測 / ターゲットストレングス / 中深層性魚類 / 日周鉛直移動 / ハダカイワシ科魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
①ハダカイワシ科魚類の鰾形態とターゲットストレングスの推定 2020年度に天皇海山域において採集された計10魚種において、回転楕円体モデルを用いたTS‐体長式の算出を行った。前年度までの結果と合わせ、研究課題においては計18魚種において4周波(38, 70, 120, 200kHz)におけるTS‐体長関係が明らかとなった。
②北海道日高沖、北海道東部太平洋海域において2021年と2022年夏季に得られた音響資源調査のデータを用い、優占種の空間分布特性、および種組成の年変動を調査した。調査海域にのうち、日高沖においては両年とも津軽暖流水の流入が顕著であったが、東部太平洋海域では、2021年に沿岸親潮系の冷水が優占的であったのに対し、2022年には暖水系の水塊が優占的であった。両年とも、調査海域のハダカイワシ科魚類は6魚種の優占種により占められていたが、上記海洋環境の違いにより、両海域の優占種の組成と生物量は大きく異なった。沿岸親潮系の冷水域では、マメハダカが優占的で、バイオマスの7割以上を占めたのに対し、暖水域においては、コヒレハダカ、オオクチイワシが優占した。ハダカイワシ科魚類の分布密度は最大で20g/m2に達し、調査海域において膨大な生物量を有することが示唆された。分布密度には海域間による大きな差が見られ、支配的な海洋環境により、中深層性魚類のバイオマスが大きく変動することが明らかとなった。また、陸棚斜面域におけるハダカイワシ科魚類のバイオマスは斜面形状と関係して大きく変化することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間を通して、本州温帯域~亜寒帯域における優占18種のTS-体長関係を明らかにすることができた。特に、九州沿岸域、および黒潮親潮移行域においては、TS‐体長関係とその周波数特性を音響資源量調査に適用し、優占種の空間分布特性や生物量を値として算出することができた。以上により、本課題は「おおむね順調に進展している」と判断した。 新型コロナウィルスの影響で、洋上調査が行えない期間があり、十分なデータが得られていない部分があるが、申請課題の実施期間延長によりこれらを補う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で、洋上調査が行えない期間があり、十分なデータが得られていない部分があるため、申請課題の実施期間延長を申請した。黒潮親潮移行域、北海道東部太平洋海域においては、調査船による調査データの取得を継続し、経年データとしての解析を推進する。 理論散乱モデルにより得られたTS-体長関係については、データベースとして、今後のデータ蓄積が可能になるよう整理する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる調査船調査の中止、および期間縮小により、当初予定していたデータを取得できなかった。こられらのデータ取得は次年度以降も継続する予定である。次年度使用金は、調査旅費、および次年度に得られた研究成果の発表費に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)