2021 Fiscal Year Research-status Report
X線結晶学による甲殻類急性ウイルス血症の感染機構の解明
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20K06238
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 守 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40280507)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / 甲殻類急性ウイルス血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲殻類急性ウイルス血症は、エビの養殖において最も甚大な被害が報告されている疾病であり、White Spot Syndrome Virus(WSSV)の感染により発生する。エビが感染すると3~10日のうちに100%死に至る。ウイルスがいったん養殖場に入り込んでしまうと、ウイルスを排除するためには、現状そこで飼育しているエビを全て廃棄するしかなく、有効な予防・防御方法が求められている。本申請では、感染に関係すると考えられるWSSVのVP37および感染関連分子群の立体構造をX線結晶構造解析により決定し、感染メカニズムを分子構造レベルで理解することを目的としている。 今年度は、VP37X線結晶構造解析に成功したKEK-Photon Factory のビームラインBL-17Aにおいて、低温窒素ガス気流下、検出器としてPilatus 6Mを用いて回折データを取得した。弱い硫黄信号による異常信号の改善と、試料吸収の長波長化によるデータ品質の低下との良い妥協点を達成するために、ネイティブデータでは波長0.98A、S-SAD位相決定用には2.00Aを用いた。1°の振動と1秒の露光時間で、ネイティブデータ用の360枚の回折像と位相決定用の5400枚の回折像を測定した。すべての回折データは、XDSを使用してインデックス付けと積分を行った。位相決定は、タンパク質中に含まれる硫黄原子を用いたSAD法によって行った。0.98 Aの波長で収集されたネイティブデータの高解像度データセットを用いて最終構造(2.51A)を得た。構造は、8本鎖のβバレルフォールドであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分解能2.51AでVP37のX線結晶構造解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた構造をもとに機能解析を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で実験室立ち入り制限等で実験および出張等がができなかったため、執行計画を達成できなかった。
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Research Products
(9 results)