2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of community reorganization method for well-being in heavy snowfall hilly and mountainous area
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20K06293
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂田 寧代 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60373172)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農村伝承文化 / アイデンティティ / 誇り / 使命感 / 闘牛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,新潟県長岡市山古志地区で伝統行事「牛の角突き」(闘牛)を運営する山古志闘牛会を対象として,会長ほか役員に対する聞き取りのほか,闘牛大会や闘牛飼育の現場において住み込みによる参与観察を自らも会員かつ闘牛オーナーとなり行った。闘牛大会は5月から11月にかけて10回実施され,4月,8月,11月に実施されたイベントも含めてすべてに参加した。また,すべての闘牛が共同飼育されている牛舎には4月から10月にかけてほぼ毎日通った。 山古志闘牛会の会員数は,43名(男性35名,女性8名)で,うち,闘牛オーナーは31名(男性27名,女性4名)である。20代から80代までの各年齢層のうち40代が12名と最多である。在住地は,山古志8名,近隣自治体16名,それら以外の県内3名,県外4名である。出身地は,山古志17名,近隣自治体7名,それら以外の県内2名,県外5名である。 牛の角突きの遂行にあたっては,山古志の在住者や出身者を中心として,誇りや使命感がくみ取れた。とりわけ,飼育責任者でもある会長や実況解説を担当する役員は,使命感を持って闘牛大会の運営や飼育にあたっていた。コロナ禍にあって経営難に陥った窮地を救うべく斬新な取り組みを彼らが発案するなか,古参の役員が下支えをし,会員一丸となって実施する姿勢がみられた。山古志に縁のないオーナーも,こうした取り組みに進んで協力していた。山古志の在住者や出身者の使命感や誇りに基づく姿勢に共鳴しているためと思われた。牛の角突きは,農村伝承文化として,農村住民のアイデンティティの源泉であり,都市住民の共感も得ていることが読み取れた。 山古志木籠ふるさと会,山古志かぐらなんばん保存会,小さな山古志楽舎などの住民主体の団体活動も調査した結果,同様に,農村伝承文化の重要性がうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,調査開始にあたってコロナ禍の影響を受けたが,本年度は,住み込みを行うことができたため,コロナ禍の影響を最小限に抑えることができたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,山古志闘牛会を対象として,継続的な調査を行う。また,地域交流団体主導型の団体として,追加で団体を選定し,コミュニティ再編の事例を増やすこととする。
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Causes of Carryover |
一部コロナ禍の影響で繰り越すことになった研究費について,次年度もコロナ禍の影響は残ると思われるが,酒造りに関する団体を追加し,研究補助者を得て効果的な調査を進めるなどして,計画的に推進する。
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