2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of community reorganization method for well-being in heavy snowfall hilly and mountainous area
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20K06293
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂田 寧代 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60373172)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルのむらづくり / リアルのむらづくり / デジタルアート / 他出子 / 牛の角突き / コロナ禍 / 山古志 / 新潟県中越地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,山古志地区の人口減少を補うために近年立ち上がったデジタルとリアルのむらづくり団体の活動に注目した。両者は,2004年新潟県中越地震の復興を先導してきた山古志住民会議という任意団体が主導している。前者は,仮想通貨で購入するデジタルアートNishikigoi NFTを媒介として国境を越えてオンライン上で人が集まり,山古志振興のためのプロジェクトを議論し実行するものである。これらのデジタル村民の人口は,山古志地区の人口を超える1,000人以上となっている。プロジェクトの実行費用の原資はNFTの収益の一部から充てられる一方,NFTの収益の大部分が税金として徴収される点が今後の検討課題として残されている。また,地域住民に対して取組みをどのように伝えていくかも課題である。 後者のリアルのむらづくり団体の活動としては,「小さな山古志楽舎」の活動である。この団体は子育て世代の30,40代を中心とした任意団体であり,10名ほどの構成員から成っている。10月23日の震災の日に追悼式を行政主導ではなく住民主体で継承していくことを設立当初の主活動としながらも,キャンプ体験や虫の観察会などの自然体験や,「山古志らしく暮らす」ライフスタイルをSNSで情報発信している。2022年追悼式の前日には,当団体の小中学校時代の同級生に声がけをすることで20~40代の他出子が山古志に参集し,山古志振興に向けた議論を行った。 本年度は,以上のほか,昨年度に引き続き,闘牛オーナーとして闘牛大会に参加するなかでコロナ禍における山古志闘牛会の運営を参与観察した。また,急峻な山間地における荷掛牛であり田畑を耕す農耕牛であり家族でもあった牛が,畜産の肉用牛,観光化された伝統行事「牛の角突き」の闘牛として,1970年代以降に分化してきた歴史的過程を,畜産関係者・闘牛関係者を対象とした聞取りや文献をもとに調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期間の一部で病気療養していたこともあり,進捗は遅れ気味である。また,昨年度予定していた酒造りに関する団体の調査は,活動に参加しているものの,詳細検討は不十分のため,次年度に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,山古志闘牛会を対象として,継続的な調査を行う。また,地域交流団体主導型の団体として,酒造りに関する団体に着目し,コミュニティ再編手法を明らかにする。
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Causes of Carryover |
病気療養の影響で繰り越すことになった研究費について,酒造りに関する団体に着目し,研究補助者を得て効果的な調査を進めるなどして計画的に推進し,コミュニティ再編手法を明らかにする。
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