2022 Fiscal Year Research-status Report
Soil management practices to prevent soil acidification and base cation loss in tea plantation
Project/Area Number |
20K06308
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
廣野 祐平 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, グループ長補佐 (10391418)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 教授 (30293921)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 茶 / 土壌 / 窒素肥料 / 硝化 / 酸性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、茶園におけるプロトン収支および塩基類等の施肥成分の収支を明らかにすることを目的とするものである。その目的の達成のために、今年度、静岡県茶業研究センター内に設置されている異なる施肥処理を施されているライシメータ3基からの脱水中の各種成分含量の分析および茶園土壌を用いた硝化培養実験を実施した。 ライシメータ試験において、茶園土壌から溶脱する塩基類の量と施肥処理の関係を調査した。その結果、昨年度と同様に、窒素施用量の増加は溶脱する塩基類の量が増大させることが確認された。 硝化培養実験には、農研機構金谷茶業研究拠点内の試験茶園から採取した土壌(黄色土)を用いた。施用する有機質資材として、もみ殻くん炭および茶樹由来の剪定枝を用いた。処理条件は、無施用、茶樹剪定枝施用、もみ殻くん炭施用、硫酸アンモニウム施用、硫酸アンモニウム+もみ殻くん炭施用の5条件とした。茶樹剪定枝と硫酸アンモニウムは500 mgN/kg -soil、もみ殻くん炭は1 g/100g-soilとなるように施用した。飽和度60%に水分量を調整し25度の恒温条件下で培養し、0、3、7、14、21、28日目の無機態窒素濃度、pH、交換態塩基含量を経時的に測定した。 今回の培養期間においては、土壌由来の可給態窒素の無機化により無機態窒素含量が緩やかに上昇したものの、茶樹剪定枝からの無機態窒素生成量はそれと比べて非常に少なかった。もみ殻くん炭の添加により、土壌のみの場合も土壌に硫酸アンモニウムを施用した場合も、無機態窒素濃度、特に、硝酸態窒素濃度が低く推移した。これは、硝化抑制効果の可能性を示唆する。 土壌pHについては、硫酸アンモニウム施用で低下したものの、今回のもみ殻くん炭施用量ではpHの明確な上昇は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異なる施肥処理を施されたライシメータからの溶脱水の分析および硝化培養実験については実施したものの、プロトン収支の解析および硝化過程のモデル化について計画どおり進捗しなかったため、「やや遅れている」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究期間で得られたライシメータ試験および硝化培養実験の結果を解析し、年間のプロトン収支および塩基等の収支を求める。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大防止への対応のため、打ち合わせおよび成果発表のための旅費の使用が予定よりも少なかった。また、研究消耗品の使用額も当初の予定よりも少なくなった。生じた次年度使用額は、実験にかかる消耗品購入費用および研究発表にかかる経費として使用する。
|